あいなぷぅに3ヒロ・かなで…女性芸人にも相次ぐ整形ブーム 芸人も「笑いより見た目が10割」の時代か?
受賞歴という結果より努力している過程を評価される令和 「見せる努力」の重要性
お笑いは時代を映すというが、とにかくみんなそれだけ、「醜くなりたくない」「醜いと人間扱いされない」という恐怖心と戦っている時代ということなのだろう。だから賞レースの結果よりも、整形やダイエットのビフォーアフターの方が耳目を集める。
「努力は見せないもの」という昭和の美学も、「努力は見せないとわからない」という令和の力学に覆されつつある。アイプチを密かに続けるのではなく、コンプレックスと整形を公表する芸人たち。その等身大の悩みと正直な態度は、確かに好感度を高めている。
ラランド・サーヤさんや丸山礼さんらを見ていると、テレビに出ることをありがたいと思う世代ではないのだなと感じることがある。都合よく編集する制作側に対する不信感とか、簡単に手のひら返しをするお茶の間の移り気さに対して警戒感を隠さず、「あ、今からテレビ用のキャラやりますね」とわざと二重底を見せているような印象を受けるのだ。それは不遜さというよりも、どこまでも自己責任という社会の怖さに対抗するための、今の若者世代ならではの冷静さの表れなのだろう。
自分の顔が嫌なら、整形すればいい。自分の機嫌も取れずに仕事で力を出せなくても、自己責任。賞レースで勝ったところで、好ましい仕事ばかりが来るわけでもない。それなら、自分なりのやり方でファンを獲得していった方が、テレビへの対抗力になる。
お笑い芸人でも、フリーになる人は増えた。整形や美容ブームは、文字通り自分の顔を名刺代わりに戦うための戦略といっては深読みしすぎだろうか。といっても、行き過ぎては笑えない。見た目も含めて芸にするのも芸人しだい。笑われるのではなく、笑わせるというプロの矜持を守るべく、番組の作り方や見方も、チューンアップが求められているのは確かなのだろう。
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