坂本勇人「性加害」スキャンダルは野放しでいいのか 米「サイ・ヤング賞投手」2年出場停止との格差

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 プロ野球巨人・坂本勇人内野手の20代女性への「性加害」に対する批判が、ネット上で収まる気配を見せない。巨人は示談で解決済みとのスタンスを崩しておらず、坂本に出場停止などの処分を下す様子もない。テレビ、新聞の大手メディアは、不気味に思えるほどこの件を一切取り上げず、坂本は連日、グラウンドに立ち続けている。一方、坂本はチーム内では他選手から腫れ物扱い。これまで数々のスキャンダルを乗り越えてきた「鋼のメンタル」も、悪質さが桁違いの今回は話が違うようだ。徐々に“罪深さ”を自覚してきたのか、元NPB球団監督は、「あの報道の直後は3安打して感心するやら、呆れるやらだったが、ここに来て調子は下降線を辿っている。原監督は『もう少し気が出てこないと』と奮起を促したが、さすがにプレーに集中できないのではないか」と分析する。巨人はAクラス入りすればクライマックスシリーズに進み、日本一の可能性さえ残す。しかし、この元監督は、「坂本としては一日も早く“終戦”してほしいのではないか」と四面楚歌でプレーする心中を察した。

バウアーは不起訴でもMLBが厳罰

 大リーグ機構は今年4月、女性に性的暴行を加えたとして2020年のサイ・ヤング賞投手、ドジャースのトレバー・バウアーに324試合の出場停止処分を科した。MLB担当記者は、バウアーのケースを引き合いに、巨人の対応の甘さを指摘する。

「バウアーは性交渉の際に女性の首を絞めるなどの暴行疑惑が浮上した。女性は告訴したものの不起訴処分になった。それでも、事態を重くみた大リーグ機構は実に2シーズンにわたってプレーさせない厳罰を与えている。現在31歳で選手生命に関わるブランク。坂本は示談が成立しているとはいえ、疑惑ではなく、妊娠・中絶、さらに自殺未遂と加害度ではバウアーよりもはるかに上。これでお咎めなしでは、巨人はもちろん日本プロ野球機構も責任が問われる」

 NPBはMLBのような中央集権化が進んでおらず、こうした処分は各球団の裁量に委ねられてきた。ならば、巨人の責任は重大と言える。

「しかも巨人の親会社は“社会の公器”とされる新聞社。このままでは性加害を容認したも同然」(同)

 それにしても読売新聞、系列のスポーツ報知の2紙以外の大手メディアは、なぜ「坂本問題」を報じないのか。大手紙記者が事情を説明する。

「もともと週刊誌が報じたネタ。どんなネタであれ、追いかけることは二番煎じ。刑事事件なら書かざるを得ないが、そうではない。巨人や坂本が発表なり、声明なりを出せば別だが……。特に、巨人に関するニュースは、ゴシップを得意とする夕刊紙まで日々の紙面に載るため、取材対象への舌鋒が鋭くならない傾向にある。スポーツ紙や一般紙は日々の試合の取材に追われ、グラウンド外でも原監督の去就や、ミスター(長嶋元監督)の病状など扱う話題が多いだけに、坂本の報道は二の次となる」

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