在日ウイグル人を恫喝する中国の手口 元公安警察官が受けた“ある相談”

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すぐに帰化できる

「当局の担当者は、さらに『あなたはまだ日本に帰化していない。友達になってくれたら、駐日中国大使館が法務省に電話をして、すぐに帰化できるようにする』と言ったそうです。実際は、中国大使館が電話をすればすぐに帰化できるなんてことはあり得ません。何より驚いたのは、彼が、会員がまだ帰化できていないことを知っていたことです。スパイを使って日本のウイグル人コミュニティを調査していた可能性もあります」

 勝丸氏は、中国当局と“友達”になってもすぐに帰化できないと伝えた。会員は幹部と協議の末、中国当局とは二度と連絡を取らないことを決めたという。

「中国当局は、会員を協力者に仕立てたかったのです。イスラム教を信仰するウイグル人は反共の立場ですから、中国にとっては脅威です。ウイグル人は民族意識が強く、中国の共産主義には決して染まりません。中国当局は、彼を協力者にしてウイグル人が日本で何をしているのか、どのくらいの人数がいるのか、情報収集したかったのでしょう。幸いなことに、身柄を拘束された会員の親族はその後釈放されたそうです」

 日本で暮らすウイグル人は、帰国すれば確実に拘束される。そのため日本に帰化しようとする者が多い。

「帰化できていないウイグル人は、中国当局から住所を突き止められるのを恐れて、隠れるように日本で暮らしています。新疆ウイグル自治区にいる親族と連絡する時も、携帯電話やパソコンは使いません。中国当局に傍受されるからです。そのためテレホンカードを使って、公衆電話から連絡しています」

 卑劣な中国の手口には呆れるばかりだ。

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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