最終戦で2本塁打の大逆転! あまりにも熾烈過ぎるタイトル争いの結末

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「チャレンジしてみろ」

 プロ野球もシーズン終盤を迎え、個人タイトル争いも白熱してきた。過去にはシーズン終了間際のサプライズで見事タイトルを手にした選手も存在する。今なお“伝説”として語り継がれている本塁打王、首位打者、盗塁王の大逆転劇を振り返ってみよう。【久保田龍雄/ライター】

 最終戦で2本塁打を放ち、最大15本差から逆転タイトルを手にしたのが、1972年の阪急・長池徳二である。

 前年わずか1本差で大杉勝男(東映)に涙をのんだ長池は、72年も故障で休んでいる間に、オールスター前に15本差をつけられたが、9月に月間15本塁打を固め打ちするなど猛スパート。3年連続キングを狙う大杉が40本で全日程を終了した10月10日の時点で、1本差の39本まで迫っていた。

 残り2試合で2本は逆転可能な数字ながら、10月3日の練習中に右足第2指を裂傷した長池は「今無理して、フォームを崩しては」と、日本シリーズに備えて休もうと考えていた。

 だが、同11日のリーグ優勝祝勝会の際に、球団関係者から「ここまで追い上げてきたんだ。やれるやれぬは別として、チャレンジしてみろ」とハッパをかけられ、ダメもとで挑戦する気になった。

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