経済安全保障で「ロシア」「中国」スパイを野放しにできない…公安警察が新たに導入した捜査方法とは
複数の企業の社員がスパイと会食
公安部の経済安全保障専従班が対象とする企業は、光学機器や半導体、通信、バイオ、AIなどの先端技術を保有する企業だ。
「今年から専従班の捜査員が対象企業に赴き、シンポジウムや展覧会などに出席した社員がロシア人や中国人などの外国人と名刺交換していないか企業の幹部に調べてもらっています。そして、名刺交換した社員は、その後外国人とどういう関係になったのか聞き取り調査をすることもあったといいます」
名刺交換の後、複数の企業の社員がロシア人や中国人と会食していたことが判明したケースもあったという。
「社員は、会食しても、機密情報を提供したことはなかったそうです。また、金銭や物品の授受もなかったといいます。会食した社員には、二度とスパイと接触しないように指示しています」
先端技術を保有する企業に接近するのは、ロシア人や中国人だけではないという。
「かつてロシア人スパイが、イタリア人コンサルタントを名乗って東芝子会社の社員に接近したケースもありました。今回の専従班の聞き取り調査では、英語名の名刺をもらった社員もいました。名刺にはホームページも明記してあり、飲みに誘われたそうです」
もっとも、機密情報の提供や金銭の授受が本当になかったのか、公安部は直接確認したわけではない。
「企業ブランドにキズがつくという理由から、スパイと会食したのに、していないと報告した企業があった可能性もあります、機密情報の漏洩や金銭授受も、隠しているかもしれません。企業側がどこまで正直に申告するか、今後の課題となりますね」
[2/2ページ]