スタンガンで「女子高生」を脅して強制わいせつ 「ウーバー配達員」が法廷で語った異様な執着

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罪滅ぼしをしながら罪を重ねる

 フードデリバリーの仕事が忙しくなる前の早朝、通勤通学の時間帯に、駅周辺で盗撮に及ぼうとする者を見つけるというボランティアだという。しかし、内心はのぞき行為を自分にとって必要な“悪”だと考えている藤野被告である。盗撮Gメンの仮面を被りながら、自身も盗撮を繰り返すという日々が始まった。にもかかわらず、早朝の通勤通学時間帯に駅周辺に待機しようと思い立ったのは、あくまでも「盗撮を取り締まる」ためだったと言う。

「罪滅ぼしの意味合いでした。以前も、犯行前に犯人を偶然見かけたことがあり、こういうことをやると、自分がよく思われると……」(同)

 木を隠すなら森の中、とばかりに、盗撮の前科がありながら盗撮のはびこる駅前に自分から出向いた藤野被告。のぞきに関して認めた内面の“悪”についても「これは自分にとって必要なもの。せめて見つからないようにしようと思った」と、その範囲が拡大してゆく。罪滅ぼしをしながら罪を重ねる日々――。

 ひとつ“悪”を認めると、ドミノ倒しのようにどこまでも止まらないのか、藤野被告はこれ以降、女子高校生3人に対する強制わいせつ未遂や強制わいせつ致傷事件を立て続けに起こすのだ。しかも、そのやり口は“異様”と呼ぶほかないものだった。(以下、後編に続く)

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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