「リブゴルフ」は世界ランキングの対象になれるのか 創設者ノーマンの悲運を振り返る
「リブ」の意味
2008年の全英オープンには、その3週間前に結婚したばかりのテニス界の女王クリス・エバート(67)を伴って登場。
「ハネムーンの仕上げのつもりで、ここへ来た」
そんな気負いの無さが功を奏したのか、ノーマンは54ホールを単独首位で終え、53歳にして3度目の全英オープン制覇に迫った。今度こそ勝ってほしい、勝たせてあげたいと、あのとき私は心底、願った。しかし、最終日のノーマンは1番ティ後方のギャラリースタンドから聞こえてきた小さな物音に腹を立て、ギャラリーを睨みつけた。そうやって激しい形相でティオフしていったノーマンのゴルフは「予想通り」振るわず、72ホールを終えたとき、彼は3位になっていた。
余談ながら、エバートとは2年後に離婚。輝くノーマンを目にすることはもうないのだと思っていたら、昨年から今年にかけて、彼は突如、リブゴルフを掲げ、表舞台に再び登場した。
リブゴルフの「LIV」はローマ数字では「54」を意味する。「サタデー・スラム」は、言い換えれば「54ホール・スラム」。ノーマンにとって「54」は輝きを意味する大好きな数字なのだろう。そんなラッキー・ナンバーを付したリブゴルフだからこそ、そもそもノーマンらのために創設された世界ランキングの対象ツアーとして承認されるのではないかと思いたい。
だが、その一方で、最後の最後に報われないことが多いノーマンだからこそ、今回も待ちに待った挙句、悲願の世界ランキングを掴み取ることができないようにも感じられ、彼の皮肉な運命はどこまで続くのだろうかと、今は少々心配している。
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