最愛の夫を亡くして30年 ちあきなおみ、新アルバム発売の裏側と復帰の可能性

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 佐川急便事件に関連して金丸信が議員辞職し、夏の甲子園では星稜高校の松井秀喜が5打席連続敬遠される。そんな年、1992年に表舞台から去った歌手のCDが未だに発売され、売り上げを伸ばしている。ちあきなおみ、74歳。最愛の夫の死から、ちょうど30年を迎えた。

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 9月11日、昼の2時半過ぎ。ちあきは自宅から歩いて出、徒歩数分の港区内の寺へと赴いた。ここには30年前のその日に亡くなった、夫・郷えい治の墓所がある。花を供え、墓石に祈るちあきの胸中に何が過(よぎ)ったのだろうか。

 ちあきが郷の死後、〈静かな時間を過ごさせてくださいます様よろしくお願い申し上げます〉とのコメントを残し、44歳で芸能活動を休止したのは、歴史の一ページだ。

「郷さんがいなくなったらもう歌うことはできない」

「ちあきさんは芸能界で共に戦ってきた郷さんを心から信頼していました」

 と述べるのは、引退時、ちあきのマネージャーを務めていた古賀慎一郎氏。

「郷さんは所属事務所の社長を務め、彼女のプロデューサー役も担っていた。言わば『ちあきなおみ』は、郷さんとちあきさんとの共同作品。その郷さんがいなくなったらもう歌うことはできない。そう思ったのでしょう。郷さん亡き後のちあきさんの悲しみは深く、私と話していてもおえつすることがあったほどです」

 最愛の夫を失った彼女は、以後、沈黙を守っている。

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