「不倫をしたが妻を傷つける気はなかった」 48歳夫が唯一“罪悪感”をおぼえる意外な女性とは

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不倫をする男の本音

 最初は美香さんへの思慕から始まった関係かもしれないが、その後は絵里さんの魅力にはまっていった。

「深くつきあうと、もちろん美香と絵里は違う。僕も一応、一般常識はあるつもりなので、このまま関係が続くのは家庭的にヤバいなあとは思っていました。ただ、万が一、バレたとしても春乃はわかってくれる、きっと許してくれるとも思っていた。結婚と恋愛が違うこと、春乃への愛情や信頼は1ミリたりとも失われていないことを説明すればいい。でももちろん愉快なことではないだろうから、バレないようにしなくてはとも思っていた」

 ここに不倫をする男の本音が見える。バレたらヤバい、でもきっと妻は許してくれるはず。晶一さんの場合は、妻を下に見て言っているわけではない。それだけの信頼関係があるはずだと固く信じていたのである。

 案の定、1年後にバレた。意外なことにバラしたのは絵里さんだった。ある日、家に帰ったら絵里さんがいたのだ。娘は晶一さんの母の家にいるという。

「帰宅してリビングに入ると、春乃と絵里が話していた。ひっくり返りそうになりましたよ。ど、ど、どうしたのと焦りまくって。すると絵里が『春乃さんだけ何も知らないのは、よくないと思うの』と。春乃は春乃で、『私、あなたに誰か好きな人がいるのかなとぼんやり感じてはいた。でも真実を知る必要もないかと思っていたの。そうしたら絵里さんが訪ねてきた。まあ、知ってよかったわ』と。何を話したらいいかわからなかった。ふたりとも怒ってないから怖いんですよ」

 当時を思い出したのか、晶一さんの目に怯えが走る。絵里さんは「私は晶一さんとつきあっていきたいけど、世間的には許される話じゃないですよね」と言った。

「すると春乃は、『世間はどうでもいいでしょ。あなたたちのことはあなたたちで話し合って。私は夫の行為をどうこう言える立場ではない。ただ、他の女性とつきあっている人を夫として受け入れられるかどうかは私の問題』って。そして『あなたの気持ちはどうなの』とふたりが僕を見ました。息が止まりそうでした」

 晶一さんは、ええっとええっとと意味のない声を出しながら、自分の本音を探ろうとしていた。だが、どうしたいのかがわからなかった。家庭と絵里さんのことは別と考えていたので、いきなり目の前にふたつのまったく違う絵を出されて、どちらかを選べと言われても無理だと感じていた。

 次の瞬間、晶一さんは膝からくずおれてしまった。そして「わからない」とつぶやいた。

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