霜降り明星・粗品のギャンブル動画が人気の理由
いつの間にか「お笑い第七世代」という言葉をすっかり聞かなくなった。2~3年前にはそう呼ばれる若手芸人たちが脚光を浴びて、爆発的なブームになっていたのに、今では第七世代という言葉自体が死語になりつつある。
何組かの若手芸人が注目されてブームになるという現象は、お笑いの歴史の中で今までにもたびたびあった。毎回ブームが過ぎ去ると、そこからは淘汰の時代に入る。何組かの芸人がもてはやされていたとしても、その中で人気を保ち続けられるのはほんの一握りである。
でも、「第七世代」という言葉を作った張本人でもあり、そのブームの中心にいた霜降り明星はいまだに活躍を続けているし、その地位が揺らぐ気配はない。
霜降り明星の才能と実績は、同世代の芸人の中でもずば抜けている。2018年に史上最年少で「M-1グランプリ」優勝を果たし、その直後の2019年には粗品がピン芸日本一を決める「R-1グランプリ」(当時の表記は「R-1ぐらんぷり」)で優勝した。ネタの面白さは折り紙付きだ。
ツッコミ担当の粗品は切れ味鋭いお笑いセンスの持ち主であり、ブラックな笑いも得意としている。一方、ボケ担当のせいやは動きや表情を使ったフィジカルの笑いを売りにしていて、リアクションが面白くてものまねも上手い。
それぞれが芸人として高いポテンシャルを持っていて、コンビ芸ではそれが見事に調和している。「M-1」で審査員を務めたナイツの塙宣之は彼らのことを「吉本の宝」と評したが、その表現も決して大げさではない。間違いなく十年に一度の逸材であり、長い目で見てお笑い界を背負って立つ存在であるのは間違いない。
そんな霜降り明星のもう1つの魅力は、これだけ高い能力がありながら、決しておとなしい優等生的なキャラではないことだ。特に粗品は、実の父親の死を平気で漫談のネタにしたりするなど、意図的にヒールキャラを演じているようなところもあり、目が離せない。
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