悪魔の詩「ラシュディ氏」襲撃で囁かれる米要人暗殺計画との関係 元公安警察官の分析

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プールサフィ容疑者

 起訴されたのは、テヘラン在住のシャフラム・プールサフィ容疑者(45)である。

「彼は、自ら暗殺に手を下さず、米在住のムスリムを使おうとした。プールサフィはそのムスリムに30万ドル(約4000万円)の報酬でボルドン暗殺を依頼しています。ムスリムはボルトン氏の自宅まで割り出したものの、ボルトン氏の周りにはいつも警護が付いていたため、犯行には至らなかったのです」

 FBIは、プールサフィとムスリムのSNS上でのやりとりを傍受して分析。ムスリムの身元を特定した。8月10日、刑事訴追に踏み切ったのだ。

「ボルトンの暗殺計画がFBIに知られてしまったため、革命防衛隊がその腹いせにラシュディ氏を暗殺しようとしたのではないか、という見方が米捜査関係者の間で広まっています。ラシュディ氏はボディーガードをつけないときもあったので、暗殺しようとすればいつでもできた。米国内でラシュディ氏を暗殺すれば、米国政府のメンツを潰すことになります」

 イラン外務省は、ラシュディを襲った犯人とは一切つながりがないと表明している。

「イランがラシュディ氏暗殺未遂と関係がないというのは疑わしいですね。最近のイランは、何でも過敏に反応して報復する傾向がある。犯人はまだ24歳。いくら何でも、自分が生まれる前に出版された本の作者を襲うとは思えません」

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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