天然の万能薬「唾液力」の鍛え方 抗菌物質がウイルスを阻止、オススメな食品は?

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唾液の有効成分がさまざまな臓器に

 さらに、唾液は口の中で作られ、飲み込んでしまえば胃酸によって溶かされて終わりと思われていましたが、実は唾液の成分が体全体に行き渡る経路があることが、最近になって分かってきました。狭心症の発作の時などに、舌の裏にニトログリセリンなど「舌下錠」を置きますよね。それは、舌下部の粘膜が非常に薄く、薬の成分がすぐに血管に染み込んでいき、全身に回るためです。この舌下部から、唾液の中の有効成分も体のさまざまな臓器に行き渡っていることが明らかになってきているのです。

認知症、統合失調症との関連も

 そこで私たちは、とりわけ高齢者が気にされる認知症などの神経系疾患に対しても、唾液が有効な働きをしているのではないかと注目しています。唾液には、BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれるタンパク質も含まれています。BDNFは脳内に最も多く存在する成分で、脳の神経細胞の成長を促しますが、うつ病の患者は、血中のBDNF濃度が低いことが指摘されています。また、認知症や統合失調症とBDNF濃度の関連も報告されています。

 いずれにしても、BDNFは脳にとってなくてはならない成分であり、唾液腺で作られたBDNFが舌下部を通じて脳に移行することが分かっています。さらに唾液には、アルツハイマー病の治療薬としての研究が進むNGF(神経成長因子)も含まれており、これも同様の経路で脳に運ばれ、脳の機能を守る役割をしていると見られています。唾液力は、しっかりと脳にも及んでいるのです。

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