天然の万能薬「唾液力」の鍛え方 抗菌物質がウイルスを阻止、オススメな食品は?

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唾液中の四つのタンパク質がコロナ感染阻止の働き

 唾液にはIgA(免疫グロブリンA)という抗菌物質が含まれていて、これが感染症の原因となる細菌やウイルスにくっつき、体内への侵入をブロックしてくれます。そして私たちの研究では、新型コロナウイルスに関しても、ウイルスが細胞上の受容体(ACE2)と結合するよりも先に、IgAがウイルスの表面にくっつき、ウイルスと細胞の結合を防いでくれる可能性があることが分かりました。

 また7月には、大阪公立大学の研究グループが、IgA以外にも、唾液中の四つのタンパク質が新型コロナウイルスの感染阻止の働きをしていると発表しています。

 新型コロナウイルスは、高齢になればなるほど、リスクが高まるとされてきました。原因はさまざまに考えられますが、唾液力の低下もそのひとつなのではないでしょうか。

 なぜなら、1日に平均で1~1.5リットル分泌される唾液の量は、一般的に、加齢に伴い減るからです。

口腔内以外にも影響が

 唾液には「刺激唾液」と「安静唾液」という、2種類の分泌のされ方があります。前者は食べ物を咀嚼する時に多く分泌され、後者は本を読んだり、テレビを観たり、普通に過ごしている時に少しずつ分泌されます。そして、後者の安静唾液の量が加齢によって減っていくのです。

 唾液は、耳たぶの斜め下の耳下腺(じかせん)や下顎の内側の顎下腺(がっかせん)・舌下腺(ぜっかせん)、この三つの唾液腺(イラスト参照)から口の中に分泌されますが、加齢によって顔の筋肉も弱まり、唾液腺の虚弱をもたらすなどの理由で、高齢者の安静唾液量は減少すると考えられています。

 こうして唾液量が減ることで、洗浄作用が弱まり、高齢者の口の中には抗菌、抗ウイルス作用のある物質が行き渡らなくなって、口腔内にウイルスや細菌が増殖しやすい環境が生まれる。それが感染症の発生のしやすさと関係しているのではないかとも推察されるのです。

 このように、口の中で「ウイルスブロック」の機能を果たしている唾液がもたらす好影響の範囲は、口腔内にとどまりません。例えば、逆流性食道炎などの炎症を抑えることにも「唾液力」は役立っています。唾液を飲み込むと胃酸が強まっているところに緩衝作用が働き、中和されるからです。

 また、唾液の中には20~30種類のグロースファクターと呼ばれるタンパク質が含まれています。これらのタンパク質は傷ついた食道の粘膜の補修を促すように作用します。

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