「岸田不況」という悪夢 専門家も呆れる「所得の国外流出」「LNG大型契約打ち切り」の大失態
小麦、大豆、肉、原油……。日々の生活に欠かせない品々の価格高騰が止まらない。先ごろ、政府が発表した物価高対策も弥縫策の域を出ず、日本はすでに“経済無策”によって「岸田不況」に突入していると、専門家は警鐘を鳴らす。
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9月9日、首相官邸で開かれた「物価・賃金・生活総合対策本部」において、低所得世帯への5万円給付や輸入小麦価格の据え置き、ガソリンや灯油への補助金延長などが決定された。しかし、円安と物価高が加速する現下の状況には「焼け石に水」との声が早くも上がっている。
実はその前日の8日、内閣府が公表した「GDP(国内総生産)統計」2次速報値の数字が専門家に衝撃を与えていた。
シグマ・キャピタル代表取締役兼チーフエコノミストの田代秀敏氏が話す。
「2022年4-6月期における実質GDP成長率は前期比で年率3.49%のプラスでしたが、国内総所得をあらわす実質GDI成長率は同0.00%のプラスマイナス・ゼロでした。GDPとGDIの実質成長率が3ポイントも乖離するのは極めて稀な異常事態です」
国内で1年間に支払われた賃金や配当などの総額を指すGDIは“国民がどれだけ稼いだか”といった所得面から経済活動を把握する統計値だ。国内でつくりだされたモノやサービスの付加価値の合計額であるGDP(生産・支出)はプラスなのに、「所得」の合計額であるGDIが増えないのはなぜか。
“いくら働いても暮らしは上向かない”
田代氏が続ける。
「増えたGDP分の所得が海外に流出してしまっているのです。原油やガスなどのエネルギー価格の上昇に加え、長期化する円安によって小麦や大豆などの輸入価格も高騰しています。以前と同じ量を買ったとしても交易条件の悪化により海外への支払額は増えていて、その分を企業や家計が最終的に負担する形になっているのです」
実質GDIに関していえば、低下傾向に歯止めがかかっていないことも懸念されるという。
「実質GDIの減少基調が意味するところは“働けど働けど暮らしが楽にならない”という状況です。実質GDPはコロナ禍前の水準に戻りつつありますが、原材料価格の高騰などによる支出増で企業や家計の実質所得が減り、国民の生活実態と回復基調にあるGDPがかけ離れてしまっているのです」(田代氏)
しかし岸田政権は実質所得の“負のスパイラル”に対して、いまだ有効な手を打てないでいる。
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