DPワールドツアーの「ガルシア棄権騒動」で浮上 評判の悪いリブゴルフに潜む新たな問題点

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ガルシアをコントロールできるか?

 ガルシアのマナーの悪さや悪態癖は今に始まったものではない。

 PGAツアーでは、ルール委員の裁定に腹を立てて靴を脱いで投げつけたり、暴言を吐いたり。自分のミスをキャディのせいにして、キャディが担いでいたゴルフバッグをサンドバッグ代わりにしてクラブで連打したこともあった。パットのミスに激怒して、カップの中にツバを吐いたこともあった。それでも、大スランプを経てマスターズを制覇した2017年ごろだけは、少々改心した様子を見せていた。

 しかし、時間の経過とともに彼の態度はどんどん悪化したのだ。そして、リブゴルフ創設の話が浮上したころからは、彼はすっかり「本来」の悪態ぶりを取り戻し、最後にPGAツアーに出場した際も「こんなツアーを去る日が待ちきれないぜ」とルール委員に捨てゼリフを吐いた。

 そんなガルシアの悪態ぶりは、それが彼の「素顔」なのだとすれば、これからも直ることなく続くのだろう。つまり、今後はリブゴルフの場で似たような言動が展開されることになる。

 なぜなら、すでにPGAツアーは「資格停止」で出られず、今回のDPワールドツアーからは「緊急事態と健康上の理由以外、理由なき途中棄権は認めない」という規定違反として罰金を検討されているからだ。つまり、ガルシアの居場所はリブゴルフだけだ。

 チーム戦も同時進行のリブゴルフでは棄権や欠場が許されないはずだが、自身のゴルフが不調で初日から戦意を失ったとき、今後、ガルシアはどうするだろうか。ルール委員の裁定や他選手の言動に不服があるとき、ノーマンに不満を覚えたとき、果たして彼はどんな悪態を見せるのだろうか。そんなガルシアをノーマンはハンドリングできるのか。「とんでもない選手を連れてきてしまったな。しかも、あんな高額で……」と後悔することにはならないのだろうか。

 いやいや、「ガルシア騒動」はほんの一例で、今、リブゴルフを彩っているきわめて個性的な選手たちが、次々に何かしらの騒動を起こす可能性は十分に考えらえる。

 そこが、現在のリブゴルフに潜む最大の脆弱性のように感じられてならない。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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