DPワールドツアーの「ガルシア棄権騒動」で浮上 評判の悪いリブゴルフに潜む新たな問題点
ゴルフに対する冒涜
ガルシアの棄権は、傷病が原因で仕方なく棄権するのとは180度異なるケースだった。
初日に76を叩いて出遅れたガルシアは、おそらくはその時点で戦意を失っていたのだろう。そして大会サスペンデッドが決まるやいなや、「もう、やめた」という具合に、あっさり試合を投げ出した。それでも、理由をきちんと説明した上で棄権したのならまだマシだったが、ガルシアは何の説明もしないままそそくさとコースを去った。
そして、「エリザベス女王の死去で喪に服す」ためということでサスペンデッドになっていた9日に、彼は英国から米国テキサス州の自宅へ瞬く間に舞い戻った。その後、近郊で開かれたカレッジ・フットボールの会場に愛妻とともに満面の笑顔で現れたのだ。
現地のTV局や来場者によって捉えられたガルシアの画像をSNS等で目にした人々は、「試合を勝手に投げ出しただけではなく、バケーション気分でフットボール観戦とは何ごとだ?」「ガルシアにはプロフェッショナリズムのかけらもない」と批判や非難の声を上げた。
ガルシアを含むリブゴルフ選手たちに押し出され、大会出場が叶わなかった選手たちは「僕たちのチャンスを奪っておきながら、あっさり捨て去った行為は許し難い」「DPワールドツアーやゴルフというゲームに対する冒涜だ」と怒りの声を上げた。
個性的な選手たちだからこそ
グレッグ・ノーマンによって創設されたリブゴルフに対しては、その構想段階から、サウジアラビアの政府系ファンドがバックについていることや、破格のマネーで選手たちを引き抜く手法、あるいは予選落ちのない3日間54ホールの是非などが取り沙汰され続けており、「スポーツウォッシングだ」といった激しい批判も付いて回っている。
今回の「ガルシア騒動」のような出来事が起こると、「やっぱりリブゴルフの選手はとんでもない」というイメージが強まるようで、それがひいては「リブゴルフはとんでもない」という認識となって一層広がっている様子だ。
しかし、この騒動に限って言えば、取り沙汰されるべきはリブゴルフではなく、ガルシアの言動の是非である。
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