DPワールドツアーの「ガルシア棄権騒動」で浮上 評判の悪いリブゴルフに潜む新たな問題点
英国の名門ウェントワースGCで9月8日から開催されたDPワールドツアー(男子ヨーロッパゴルフツアー)のBMW PGAチャンピオンシップは、同日、エリザベス女王の逝去の報を受けたわずか2分後に大会の一時中断(サスペンデット)を発表。その後、再開されたが、棄権したセルヒオ・ガルシア(スペイン)の“ある行動”が波紋を広げた。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】
【写真】白いキャミソール姿の妻の腰に手を回しながらポーズを決めるガルシア
あっさり棄権して帰国
大会は翌9日もサスペンデッドとなったものの、54ホールへ短縮された上で10日から再開され、英国出身のシェーン・ローリーが勝利した。
最終日(11日)の戦いは手に汗握る熱戦となり、同ツアーのフラッグシップ大会にふさわしい盛り上がりを見せた。だが、同大会にサウジアラビア政府系ファンドが支援するリブゴルフの選手が18名も出場したことが原因で、開幕前からさまざまな喧騒が巻き起こった。
18名のうちの1人であるガルシアは、大会がサスペンデットとなると、あっさり棄権。あっという間に英国から米国テキサス州の自宅へ戻り、近郊で開かれたカレッジ・フットボールの会場に愛妻と訪れ、バケーション気分で観戦を楽しんだのだ。
欧米ゴルフ界では、そんなガルシアに対する怒りと非難の声が噴き出し、この「ガルシア騒動」はDPワールドツアーが誇るフラッグシップ大会の「汚点」となった。
選手18名が押し出された
PGAツアーがリブゴルフの大会に出場した選手たちに「資格停止」の処分を科したことは、すでにご存じのことと思う。
処分を受けたリブゴルフ選手のうちの3名は、その一時取り消しを求める仮処分を申請。だが、彼らの訴えは米国の審問では全面却下され、PGAツアーが反トラスト法(独占禁止法)違反かどうかを問われる2024年1月の裁判が結審するまでは、リブゴルフ選手がPGAツアーに出場する道はすべて閉ざされている。
しかし、欧州では同様の審問で逆の結果が出されたため、現状ではリブゴルフ選手のDPワールドツアーへの出場が「一時的に」認められている。
そのため、BMW PGAチャンピオンシップには、イアン・ポールター(英国)やリー・ウェストウッド(同前)といったリブゴルフ選手が18名も押し寄せたのだ。その煽りを受けて、栄えあるフラッグシップ大会に出場できると見込んでいたDPワールドツアーの選手18名が押し出され、涙を飲んだことは言うまでもない。
そうやって古巣の選手たちを押し出してまでリブゴルフ選手がわざわざDPワールドツアーの大会に出場した目的はただ1つ。リブゴルフでは稼ぐことができない世界ランキングのポイントを稼ぐためだった。
ガルシアもその1人だったが、彼はその目的すら達成することなくあっさり棄権し、さっさとバケーションに切り替えたのだ。
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