ついに安倍派の国会議員からも国葬に疑問の声 「果たして安倍さんの名誉になるのか?」
「本物の国葬」
一方、イギリスでは、9月8日にエリザベス女王(享年96)が死去したことを受け、王位継承評議会が10日、チャールズ3世(73)の国王即位を正式に布告。更に、女王の国葬を19日に行うと発表した。
「イギリスにも国葬に関する法律は存在しませんが、慣例が重視されています。国王や女王など国家元首は国葬が前提です。ただし“卓越した業績”が評価され、例外に近い形で国葬になったケースはあります。物理学者のアイザック・ニュートン(1643~1727)や首相を務めたウィンストン・チャーチル(1874~1965)などは国葬でした」(同・記者)
一方、王室関係者や首相経験者でも国葬にならないことは珍しくない。ダイアナ元皇太子妃(1961~1997)、エリザベス女王の夫・フィリップ殿下(1921~2021)、元首相のマーガレット・サッチャー(1925~2013)の3氏は国葬ではなく、それに準ずる「儀礼葬」が執り行われた。
「エリザベス女王の場合、世界中から弔意が示され、国葬を疑うイギリス国民は皆無と言っていい状況です。それと比較した日本人も多かったようで、Twitterでは『本物の国葬』という言葉がトレンド入りしました」(同・記者)
国葬中止は不可能
安倍元首相の国葬問題は依然として世論を二分し、なかなか着地点が見えない。岸田首相は8月27日、国会の閉会中審査で国葬の意義を訴えたが、少なくとも反対派を納得させることはできなかった。
自民党の安倍派に所属する国会議員も、「国葬に反対する世論は日に日に増すばかり。そうした意見を無視する形で執り行ってしまうと、かえって安倍さんの名誉に傷がついてしまうのではないでしょうか」と言う。
「安倍さんの地元である山口県でも、最近は『国葬でなくてもよいのではないか』という意見が出てきているそうです。何しろ『安倍さんの業績は国葬に値するか』という単純な議論ではなく、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題ともリンクしてしまったことで、非常に厄介なものになってしまいました」(同・国会議員)
もし岸田首相が「国葬は取り止めて内閣・自民党合同葬に変更します」と発表すれば、世論も大歓迎するかもしれない。だが、そんなことは不可能だという。
「既に各国の政府にも国葬の実施を伝えていますからね。これで止めたら、それこそ世界の笑いものでしょう。今さら『中止します』とは口が裂けても言えません。とはいっても、安倍さんの国葬を執り行うことが、“心から故人を悼む”こととイコールではなくなってしまった。これは非常に大きなことだと思いますね」(同・国会議員)
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