巨人の選手はなぜ「紳士たれ」の逆を行ってしまうのか 時代に合わない「成績こそ全て」という価値観

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自粛か安打か? 結果でしかスキャンダルをぬぐえないアスリートの宿命

 坂本選手に対する処分というのは現時点では聞こえてこないが、笠原氏のように逮捕されたわけでもなく、監督らのように不倫でもない。既報の通り、弁護士による手続きを経て示談になっている。これまでの基準に従えば、おとがめなしとするしかないのだろう。そもそもアスリートのスキャンダルは、自粛や謝罪会見でチャラにはならない。俳優やアーティストと違い、好感度という目に見えないものではなく、目に見える結果を出すのが汚名をそそぐ唯一の方法だ。

 流出した坂本選手の声には、苦悩や罪悪感より「またか」と言わんばかりの落ち着きがあった。それは今までも、成績を出すことで相手や世間を黙らせてきたという成功体験があるからだろう。だから私生活が乱れていようと、寄ってくる女性も途切れない。今回はさすがに逆風とはいえ、成績が沈めばもっと叩かれるのは目に見えている。反省よりも安打。一筆よりも一勝。結果主義の巨人軍の姿勢は、数々の問題児たちの歴史から生み出された、現実的なリカバリー法という意味合いが強いのかもしれない。

 一方で大谷翔平選手のように、人間性も成績も兼ね備えた次世代アスリートが増えてきた。勝てば官軍とばかりに狼藉を働き続ける選手なんて、巨人どころか人でなし。時代の意識も変わってきている。これを機に球団全体で、意識改革がされていくことを期待したい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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