「森元首相の逮捕」を東京地検特捜部は諦めたのか?
森氏の功績
他方、政治部デスクはこんな見方をする。
「首相に決まるまでの流れが“あまりにも密室すぎた”とか、大きな失言や危機管理のマズさなどによって政権が超短命に終わったことで、森氏には一般的にグレーなイメージがつきまとっています。ただ、実際に話をしたり付き合ったりしてみると、懐の深さがあるのも事実。相手が誰であろうと怯むこともなければ遠慮もあまりせずに近づいて行って関係を作ってしまう“政治力”もある」
実際、ラグビー伝統国以外で初めてラグビーのW杯を開催にこぎ着けられたのは森氏によるところが大きいとされていた。
「東京五輪がコロナなどでぐちゃぐちゃになって、IOCのバッハ会長からアレコレとハードルの高い要求が来ている中でも粘り強く交渉し、うまい妥協点を見出したのは森氏の手腕だとされています。森氏は水面下のやり取りやそこでの“実績”を外部にして誇ったりすることがないので、世の中に伝わりづらく、誤解されている部分も少なからずあるでしょう」(同)
常に国策捜査
もっとも、組織委員会の会長を辞任するきっかけとなった女性蔑視発言はじめ、失言などで世論の反発を招いたことは少なからずあった。
「そうですね。元々思ったことをそのまま口にしてしまうタイプではあるのですが、世間の森さんに対するイメージの悪さにメディア側が乗じ、意地悪な切り取り方をして報じられた面もあるようにも見えました。その点、特捜部のターゲットにはなりやすいのかもしれません。彼らの捜査は常にいわゆる“国策捜査”の傾向があります。要は世間の耳目を集めているテーマを対象に、世の中から“看過しがたい存在”だと指弾されている相手を懲らしめるというものですからね」(同)
とはいえ、森氏は元首相であり、85歳という高齢に加え、がん治療後、透析を受ける日々を送っている。
「もちろん、身柄拘束による健康面や政治的な影響について見定める必要があります。それとは別に、特捜部の捜査で特によくあるのは、現場が“証拠は固まっている”と主張するのに対し、最高検などの上級官庁の幹部がこれを色んな理由で否定するというパターンです」
と、社会部デスク。
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