「森元首相の逮捕」を東京地検特捜部は諦めたのか?

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現金200万円は?

 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、ついにKADOKAWAの角川歴彦会長が贈賄容疑で逮捕された。一方、大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相(85)が東京地検特捜部から任意で複数回、事情を聴かれていたこともわかっている。あくまでも参考人としての立場だけに、逮捕はないだろうというのが衆目の一致するところだが、本当に特捜部は逮捕を諦めたのか?

 大会組織委員会の元理事である高橋治之容疑者(=受託収賄容疑で再逮捕=)が、紳士服大手のAOKIホールディングスや出版大手のKADOKAWAから金銭の提供を受けたとされる事件の捜査が進んでいる。

 その中で、大会のスポンサーのひとつ、AOKI前会長の青木拡憲被告(贈賄罪で起訴)が、森元首相に「現金200万円を手渡した」と供述していることが報じられた。

「この200万円は、当時森氏が治療を受けていたがんについての見舞金だったと青木被告が供述しているとの報道がありました。森氏はこの事実を否定するなどしています。実際に受け取っていたとしても見舞金だったなら、罪に問うことは難しいでしょう」

 と、担当記者。

特捜部の見るスキームとは?

 200万円もの大金が見舞金として渡される関係とは一体いかなるものか、一般人にはなかなか想像しがたいが、それだけでは立件は困難ということのようなのだ。

「もちろん、組織委員会トップだった森氏は『みなし公務員』ですので、その職務に関して、相手側に供与する便宜の対価として金銭を受け取ったのであれば、収賄罪もしくは受託収賄罪に問われる可能性があります」(同)

 AOKIに続くKADOKAWAの案件では、KADOKAWAがスポンサーに選定される前に、森氏が別の大手出版社を「個人的な好き嫌い」で拒絶した可能性があることが文春オンラインで報じられた。

「なかなか生々しい話でしたが、森氏が組織委員会のトップとして影響力を行使したと言えるだけの物証を重ねるのは難しいでしょう。その一方で、高橋容疑者が“森さんも僕に任せている”と発言していたという供述報道とAOKI側の資金提供の話とを合わせて見ると興味深いですね。新聞・テレビが伝える各種の供述内容は、特捜部そのものではないにしてもその周辺からリークされたものであり、特捜部がどんな絵図を描いているのかがおぼろげながら見えてくるからです」(同)

 具体的には?

「森氏から全権委任された高橋容疑者がスポンサー選定などを取り仕切り、選ばれた企業側は森氏に対しAOKIが支払ったような金銭(この場合の名目は見舞金ではない)を提供するというスキームができていたと特捜部は見ている、と言えるかもしれません。やや強引ではありますが」(同)

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