五輪汚職で200万円…なぜ森元総理はいつも逮捕されない? 過去のカネがらみの疑惑を検証
現金1千万円に“ここでは受け取れないから”
そうしたことが背景にあるのか、森元総理はこれまで幾度となくカネを巡る疑惑がささやかれてきたにもかかわらず、一度も捜査の網に捉えられたことはない。
その中のいくつかの例を、時系列の新しい順に振り返ってみたい。
昨年3月、森元総理が最高顧問を務める全日本私立幼稚園連合会で4億円を超える巨額使途不明金が見つかった問題をNHKが報道。この件に関して、本誌(「週刊新潮」)はカネについての生々しい証言を紹介している。連合会の系列の全日本私立幼稚園PTA連合会の元役員によると、2000年の森総理誕生時、当時の幼稚園連合会の会長が現金1千万円を渡すため、首相官邸に行ったというのだ。
〈会長が“お祝いを持ってきたんだけど”と、森総理に渡そうとした。総理は中身を察したのか、“ここでは受け取れないから”と言い、側近であり、文相経験もある文教族の有力議員のもとへ行くよう指示されました〉
当時の本誌の取材に森元総理の代理人弁護士は金銭の受け取りを否定。この件ではその後、理事長が逮捕されたが、政界ルートを目指し、警察、検察が動いた形跡は全くない。
400万円の恩恵を受けていたが…
09年に特捜部が手がけた準大手ゼネコン「西松建設」の違法献金事件では、同社のダミーとされる二つの政治団体から多くの国会議員が寄付を受けたりパーティー券を購入してもらっていたことが発覚。森元総理も総額400万円の恩恵を受けていたが、捜査の手が及ぶことはなかった。
「検察は従来、この種のダミーを使った政治献金は見逃してきましたが、小沢一郎議員側については、岩手県のダム工事受注で便宜を図った事実上の謝礼とみて政治団体の会計責任者らを起訴しました。森さんへの献金にはそうした『悪性』の要素がなかったのだと思います」(司法記者)
01年の総理在任中には、朝日新聞の報道により、知人からゴルフ会員権を無償で譲り受けながら贈与税を納めていなかった問題が発覚。与野党から批判の集中砲火を浴びたが、この件で国税当局が触手を伸ばすことはなかった。
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