政府が公表した国葬費は16億円 元公安警察官の試算は「38億円」の根拠
気がかりはドローン
現在、警視庁には4万6000人の警察官がいる。
「おそらく警視庁から1万人派遣して、全国の警察から応援を仰ぐことになるでしょう。警備に当たる警察官には、超過勤務手当、宿泊費、食費、交通費などがかかります。静岡や長野など東京近県からはバスで来るでしょうし、遠方からは飛行機や新幹線を使うでしょう。そのための交通費も必要になりますね」
警備は、どのくらいの範囲が必要なのか。
「海外の要人が入国する成田空港や羽田空港、要人が宿泊するホテル、会場となる武道館、沿道とかなり広範囲に行われます。武道館では、爆弾などが仕掛けられないように、数日前からかなり広い範囲で会場周辺を警備する必要がありますね。火薬を嗅ぎ分ける爆弾探知犬も全国から手配することになるでしょう。絶対に失敗は許されないので、沿道警備も、50メートル間隔ではなくて、15~20メートル間隔で警察官を配置することになるかもしれません」
警察は公にはしていないが、警備にあたって心配事があるという。
「ドローンによる攻撃です。ここ数年でドローン技術は格段に進歩し、AIが組み込まれたドローンだと、遠隔操作して標的を正確に攻撃することができます。7月31日に米軍がアルカイダの最高指導者ザワヒリを暗殺した際、ドローンからミサイルを発射したのです。警察官は、ドローンの攻撃をどうやって防ぐか頭を悩ませていますよ」
結局、警備費はいくら必要になるのか。
「東京五輪も当初の試算よりも、どんどん予算が膨らんでいきました。政府は、最終的な金額は国葬後に精査しなければわからないと説明しています。即位の礼までいかないとしても、完璧に警備を行うには、1989年の大喪の礼を超える30億円はかかると思います。場合によっては、35億円までいくのではないでしょうか」
警備費は仮に30億円とすれば、国葬の総費用は38億6000万円かかることになる。