「立浪中日」阪神ヘッドコーチの「横取り」に暗雲 ナンバー2不在で「独裁」に拍車も

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「一定の冷却期間が必要」

 立浪和義監督(53)が率いる中日の来季のヘッドコーチ人事に暗雲が垂れ込めている。現阪神ヘッドコーチであり、立浪監督の盟友の1人でもある井上一樹氏(51)の横滑りが有力視されていたが、ここに来て「最低1年は先送りするのではないか」との観測が浮上した。かねて落合英二ヘッド兼投手コーチ(53)は野手が専門外のため、投手コーチに専念したいとの意向があるという。中日のヘッドと言えば、立浪監督が昨オフに就任した際、元ヤクルトの宮本慎也氏(51)の招聘を断念しており、監督に次ぐ「ナンバー2」の座は鬼門の様相を呈している。

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 阪神の矢野燿大監督が今春のキャンプイン前日に今季限りでの退任を表明し、間もない頃だった。さる中日球団関係者はこう語っていた。

「英二は、ヘッドは荷が重いと言っているし、これで一樹が来年うちのヘッドだろう。阪神の選手の癖とかチーム内の情報はもらうことになる。同一リーグでは、両チームの力関係(今季は9月11日まで12勝12敗)が変わるほど大きなこと」

 しかし、この人事は既定路線になるタイミングが余りにも早かったため、雲行きが怪しくなる。

「阪神では早くから選手が(井上氏に)疑心暗鬼になっていた。来年にはセ・リーグの別チームのコーチになることが内定しているような人をヘッドにして1年間戦うのは明らかに不自然。自分たちの弱点を含め、機密事項を全て持っていかれるなら隠すべきところは隠さないといけない、と。一部選手とは微妙な距離が生まれるようになっていった」(阪神担当記者)

 本来、監督の退任の多くはシーズン終盤に決まるものだ。立場が危うくなる腹心のコーチなどはその前後から本格的に翌年の“就職活動”に入る。

「ところが、矢野監督退任のケースは極めて異例だった。井上ヘッドは来季の中日移籍が周知の事実の中で今季を戦うことになった。これでオフに、その通りに移籍すれば節操がないと言われかねず、長く球界で仕事する上でもこんな評判はマイナスになる。中日も阪神への仁義という意味で動きづらくなっただろう。『中日・井上ヘッド』誕生までには一定の冷却期間が要るのではないか」(元NPB球団監督)

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