水道タダ、公用車の買い替え… 各自治体の「コロナ交付金」の使い道は?

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 東京の昭島市が水道料金を無料にすると明らかにしたのは8月23日。それによると、今年の9月から12月まで、ほとんどの家庭が使う上下水道の基本料金がゼロになり、使用量も一定量までタダ。市内の公衆浴場も基本料金免除。国からの「新型コロナ対応地方創生臨時交付金」(以下コロナ交付金)が源資だという。

「かねて交付金の使途を検討していたのですが、市民から個々に補助金の申請を受けるよりも、行政から公共サービスを一律に提供する“プッシュ型”のほうがいいという結論になった。水道なら誰でも使うものですから」(昭島市の担当者)

 一昨年4月、コロナ対応の緊急経済対策で予算がつけられたコロナ交付金は、その後の補正予算や予備費も加えると約16兆円。雇用の維持や経済活動の回復などの名目があれば、比較的自由に使える仕組みになっている。で、その公金が何に化けたかをいくつか紹介すると、岡山県井原市は、大河ドラマ「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一にあやかった事業に予算をつけた。

「実際のドラマでも渋沢が井原を訪れるシーンが登場します。そこで渋沢に関連した商品を作っている事業者に補助金を出しました。具体的にはパッケージに渋沢が描かれたドリップコーヒーと、渋沢と縁のある酒蔵が作っている日本酒のPOP広告です」(井原市の担当者)

公用車、自動給茶器を選んだ自治体も

 約1600万円で公用車10台を新車に入れ替えたのは、広島県三次(みよし)市だ。

「三次にはマツダの事業所とテストコースがあり、従業員も数多く住んでいます。コロナ禍で車の生産が激減したのはご存じのとおり。少しでも助けになればとマツダ車を買うことにしたのです」(三次市の担当者)

 愛知県は約230万円を使って自動給茶器を買った。

「当県には全寮制の県立農業大学校というのがあります。学生は食堂でご飯を食べるのですが、やかんでお茶をくんでいた。しかし、やかんの手渡しは感染の危険性がある。そこで予防のために給茶器を3台導入したのです」(愛知県の担当者)

 なかにはNGとなった案件もある。佐賀県が「誓いの鐘」なる洋鐘を県庁前に作ろうとしたものの、コロナ対策と関係があまりに薄いとして県議会で却下されてしまったのだ。

 その昔、全国に一律1億円がバラまかれた「ふるさと創生事業」では交付金で純金のコケシを作った自治体もあったが、結局、財政難でコケシを手放してしまった。あれから三十余年、コロナ交付金は令和の日本を創生できるか。

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

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