「孤独死」「スマホの画面割れ」に対応 少額短期保険、大流行の理由は?

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 コロナ禍が拡大すると、いち早く「コロナ保険」を売り出し、猛暑が来そうだと予測したら「熱中症保険」を販売する。タイムリーな保険を少ない保険金で売っているのが、少額短期保険(以下少短)だ。毎年10%近いペースで成長しているという。

 保険アナリストが説明する。

「少短は2006年に保険業法が改正されてスタートした業種なのですが、もともとはオレンジ共済事件をきっかけに無認可の共済を規制するため法整備されたという経緯があります。病気死亡保険金なら300万円以下で、保険期間は生保・医療保険で1年以内(損保は2年)などの制約がありますが、資本金1千万円で登録できる。それもあって、現在116社もの業者が参入しています」

 最近、有名になったのは冒頭で紹介したコロナ保険だが、コロナウイルスがオミクロン株に置き換わったことで感染者が激増し、販売停止に追い込まれたことが話題に。手堅いイメージの保険業らしからぬミスだが、そんな変な補償があるのか、と驚くような保険を作っているのだ。

少短の強みは?

「例をあげると、コンサートの席を予約したものの病気やケガ、電車の遅延で間に合わなかった場合のための保険や、ペットが他人にかみつきケガをさせてしまった際、弁償するペット賠償責任保険。ストーカーに狙われたらガードマンが駆けつけてくれるストーカー対策保険、痴漢と間違われてしまった場合に専門の弁護士が相談に乗ってくれる痴漢冤罪保険というのもあります。最近ではアパートの入居者が孤独死したり、自殺してしまった際、大家のために部屋の掃除や修繕費用を出してくれる保険が注目されました」(同)

 日本少額短期保険協会の小泉武彦専務理事によると、

「大手の保険会社は死亡率など膨大な統計資料をもとに数理計算して保険料を算出しますが、保険期間も長く、その分だけ保険料も高い。これに対し、少短はオンデマンドで安い保険を作ることができる。新規に参入してくる業者も既存の保険会社より、不動産会社や家電販売など異業種が多い。予想外のことが起きるとコロナ保険のように“売り止め”が起きてしまうこともありますが、身の回りの生活リスクを細かくカバーできるのが少短の強みでもあります」

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

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