100歳まで生きる人に共通する性格傾向、なってはいけない疾患は? 慶應大・百寿総合研究センター長が明かす

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97%が慢性疾患

 私たち慶應の百寿者研究グループにとって転機となったのは、2000年から02年にかけて、東京都の健康長寿医療センターと共同で行った「東京百寿者研究」でした。住民基本台帳をもとに、東京23区に住んでいる百寿者にアンケートで514人、実際に訪問したのが304人と、飛躍的に多くの百寿者を調査することができた。そして、この東京百寿者研究から、百寿者に関するさまざまな特徴が浮かび上がってきたのです。

 その一つが、冒頭で紹介した話です。私たち自身も、調査を行うまでは百寿者は他の方と比べて病気になりにくいのであろう、だからこその百寿なのだと考えていました。ところが調査の結果、実際は百寿者の97%が何らかの慢性疾患を抱えていることが分かった。つまり、百寿者といえども病気と無縁ではいられなかったのです。

百寿者の性格傾向とは?

 ただし、その慢性疾患を病気別に見てみると、百寿者における糖尿病の有病率は6.0%で、一般の高齢者の3分の1程度と非常に低かった。また、がんや脳梗塞といった致死率の高い疾患の罹患率も比較的低いことが分かりました。

 さらに遺伝的な傾向としては、百寿者はアポリポタンパク質E4(ApoE4)という遺伝子を保有している方が少ないことも明らかになりました。ApoE4はアルツハイマー病のリスクが高まる遺伝子として知られています。このことから、百寿と認知症には何らかの関係があると推察されます。

 そして東京百寿者研究では、百寿者の性格傾向も調査し、やはりある特徴が見られました。具体的には、開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向と、「ビッグファイブ」と呼ばれる五つの性格要素を分析。すると、百寿者は誠実性と外向性が高い水準にあることが分かったのです。

 誠実性が高いということは、責任感があり、勤勉で真面目であることを意味します。つまり百寿者は、自らを律する力が強く、決まり事をしっかり守る方が多いといえる。おそらく、医師からの指示や薬の用量・用法を厳守し、朝は6時に起きて夜10時には必ず寝る、運動をルーティンとして行うといったような生活習慣を守ることができるので、自然と長寿につながっているのではないかと考えられます。

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