貴重写真で振り返る、吉田茂元首相“国葬”の風景 当時も反対の声が…人々は黙祷の要請に応じなかった?

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繁華街で目をつむっていたのは警察官だけ?

 神奈川県大磯の自宅を出た吉田の遺骨が、武道館に到着したのは午後2時。ものものしい儀仗隊に迎えられ、19発の弔砲が発射された。開会の辞のあとは、1分間の黙祷。これは会場にいるいないにかかわらず、全国民に要請されたもの。このあたりは、今回の国葬とは大きく異なる点だろう。もっとも、各地でサイレンが鳴り響いたが、繁華街で目をつむっているのは警察官だけだったという話もある。

 皇族や大使らに続いて、会場に参じた4万5千人もの一般人も献花。午後5時には、吉田の遺骨は会場を出た。

 この日の午後、国公立の学校や官公庁はお休み。競馬や競輪などの公営ギャンブルも中止に。“国葬”という名にふさわしい仰々しさである。

 かかった費用は、現在の価値で7千万円ほど。今回の国葬について、政府は、今年度予算の予備費から支出を決めている約2億5千万円に、警備費や外国要人の接遇費など14億円余りを加え、総額で16億6千万円程度となる見通しを示した。半世紀前とは世界情勢をはじめ、状況が何もかも異なるが、さて、どうなるか――。

撮影・小島啓佑

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

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