香川照之 日曜劇場「アトムの童」降板発表はずいぶん遅かった 相思相愛TBSの特別な事情
TBSと香川の蜜月
「騒動についてこれ以上言及すると、香川の芸能界引退にもつながりかねません。なにより香川は、TBSの看板ドラマ枠“日曜劇場”の顔と言ってもいいほど、毎年のように出演していましたからね」
いや、毎年のようにではなく、2013年に大ヒットした「半沢直樹」以降、本当に毎年出演していた。
「『半沢直樹』で演じた大和田常務役は、彼を代表する役柄となりました。サントリーのCMで堺雅人と香川が共演しているのは、そのおかげに他なりません。香川は『半沢直樹』のヒット以降、同じ制作チームが手がけるドラマには、日曜劇場以外にも出演するようになったのです。通常、人気俳優は、ひとつのドラマがヒットすると、他局からの出演オファーが急増します。他局の仕事をすることでギャラも上がるので、ひとつのテレビ局だけに出演する俳優はほとんどいません。それでも香川は、TBSに集中して出続けました」
デイリー新潮は「新番組『THE TIME,』の金曜担当は香川照之、TBSがわざわざ起用した特別な理由」(21年10月1日配信)で、香川の情報番組起用は彼を囲い込むためと報じた。
「他局の仕事は引き受けてほしくなかったのでしょう。それほど密接な関係だったのですが、『Nキャス』が香川の性加害を報じたわけです。業界では、TBSが香川との決別宣言をしたと受け止められました。TBSは今後、彼を起用することはないと。『THE TIME,』の降板は香川と製作サイドが話し合って決めたと発表されていますが、実際はTBS幹部からクビを告げられたと言われています」
好感度は戻らない
TBSはそこまでの決意をしたのなら、なぜ日曜劇場「アトムの童」降板の発表は遅れたのか。
「香川が現在放送中の『六本木クラス』(テレビ朝日)に出演しているからです。韓流ドラマのリメイクで、居酒屋店長の竹内涼真が巨大外食産業の会長に復讐を果たすストーリーですが、香川は敵役である外食産業の会長を演じています。一方、TBSの『アトムの童』は、若きゲーム開発者(山崎賢人)が老舗玩具メーカーと手を組み、ゲーム業界の大資本企業に立ち向かうというストーリーで、香川が演じるのは敵役と言われていました。似たような設定ですし、早めに情報を解禁すれば、テレ朝の『六本木クラス』をアシストすることにもなりかねない。そこでTBSは、『六本木クラス』が終わるまで情報解禁を待っていたそうです。その最中に、性加害騒動が報じられたのです」
皮肉なことに「六本木クラス」は、香川問題が報道された後、視聴率が上がり始めている。TBSも同じ効果があるかもしれないと、香川の降板を決めかねていたのでは?
「さすがに2匹目のドジョウはいないでしょう。香川は『半沢直樹』の大和田常務以降、『日本沈没―希望のひと―』の田所教授にいたるまで、ほとんど同じような強烈なキャラの役を演じていました。『六本木クラス』も同様です。しかし今回の報道により、あの強烈キャラは演技ではなく、香川本人の性格であり、本来のキャラクターだとわかってしまった。こうなると、女性視聴者はドン引きです。嫌な役柄を演じていても、実はいい人ならファンはつきますが、女性に嫌われた俳優はどんなにいい芝居をしても視聴率に結びつくことはありません。TBSは、香川の好感度が戻ることはない判断した上で、『THE TIME,』を降板させ、『Nキャス』で報じ、『アトムの童』も降ろしたということではないでしょうか」
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