「ちむどんどん」♯反省会に「芋たこなんきん」が大きな影響 16年前と評価が一変
BSプレミアムがアダに
「BSプレミアムで朝ドラの“アンコール放送”がスタートしたのは12年の『ゲゲゲの女房』からでした。放送時間は7時15分からの15分で、直後の7時30分からは放送中の朝ドラ(当時は『梅ちゃん先生』)が、総合テレビよりも30分早く放送されています。『まれ』が放送された15年当時、総合テレビ午前8時からの本放送は全体の39%が見ていたそうです。対するBSプレミアムは20%ほどで、おそらくこの頃からBSで先行視聴する朝ドラファンが増えてきたのだと思います。何といっても、社会現象を起こした『あまちゃん』の再放送があったわけですから」
「あまちゃん」の直後に放送されることになった「まれ」の不運とも言える。19年には朝ドラの金字塔「おしん」の再放送もあり、BSで朝ドラを見る視聴者は増えたという。ならば「芋たこなんきん」も本放送時から高評価だったかというと、そうではないという。
「作家の田辺聖子さんの自伝をベースに06年後期に放送されました。ヒロインの藤山直美は当時47歳で、朝ドラ史上最年長ヒロイン(現在は21年後期「カムカムエヴリバディ」の深津絵里が初登場時48歳で記録更新)として話題になりましたが、それは放送前のこと。朝ドラファンの間では評価は高かったようですが、視聴率がそれほど取れなかったのは、ヒロインの成長を視聴者が見守るドラマではなく、大人になったヒロインが幼少期を回想する構成に馴染めなかったからとも言われています」
平均視聴率は16・8%で、統計のある1964年以降、歴代ワースト3位(当時)だった。
「芋たこ」を楽しむほど
「朝ドラは04~09年が低迷期と言われており、視聴率ワーストの作品のほとんどがこの時期の放送でした」
低迷期の朝ドラはこちら。
「当時の放送時間は8時15分スタートで、すでに視聴者の生活時間帯が変わっていたことも考えられます。10年前期に放送された『ゲゲゲの女房』から、現在の8時スタートに繰り上げられ、朝ドラは低迷期から脱したのです」
低迷期のど真ん中に放送された「芋たこなんきん」が、今になって再評価されたわけだ。
「15年を経て、初めて見たという視聴者も少なくないと思います。実際、とても面白い作品だと思います。脚本もさることながら、俳優陣の演技の上手さに引き込まれます。『芋たこ』の直後に始まる『ちむどんどん』を見ると、より一層陳腐なドラマに思えてしまうほど。『芋たこ』を楽しめば楽しむほど、『ちむどんどん』にガッカリしてしまうのです」
過去の朝ドラの再放送が、現行の朝ドラを苦しめるという皮肉な結果に。ちなみにBSプレミアムでの、次のアンコール放送は1981年後期に放送された「本日も晴天なり」(ヒロインは原日出子)だ。