【初恋の悪魔】残り3話 見えてきた雪松鳴人署長のリバーシブル
被害者たちは同い年、犯人は雪松署長?
同署警察署長・雪松鳴人(伊藤英明)もおそらく2つの面を持つ。普段は質実剛健で典型的な幹部警察官だが、違う面がある。ここからは一考察を書かせていただく。
雪松は犯人と見る。被害者3人には大きな共通点がある。3人は殺された時期こそ違うが、年齢が同じである。
※15歳の中学生・塩澤潤(黒田陸)は2017年8月に殺された※2年後の2019年に殺害された高校生・吉長圭人(石橋和磨)は17歳だった※その3年後の2022年現在、新たに殺されたのは20歳の大学生・望月蓮(萩原竜之介)
3人は同級生、または顔見知り。誰かから共通する恨みを買っていたのだろう。遺恨を抱いていたのは雪松である。
おそらく雪松の子供も現在20歳。死んでいるかも知れない。子供は3人によって酷い目に遭わされた。3人殺害の動機は雪松の復讐だ。
それが第7話のラストでほのめかされた。雪松は車中から「きょうこ」という女性に電話をかけ、こう言った。「なんとかさ、片付いたよ……やっと終わったよ、やっと」。途中、涙ぐんだ。雪松による復讐完了の報告に聞こえた。
電話中、雪松は「いま帰るところ」と口にしたので、きょうこは家族である。おそらく妻。3人の殺害はきょうこも知っているわけだ。3人は夫婦にとって共通の仇。やはり子供が虐げられたのだろう。
なぜ、雪松は5年もかけて犯行におよび、不連続殺人の形にしたのか。それは3人が同年齢であることから目を背けさせるためである。
一度に殺してしまうと、3人の結び付きが分かってしまい、自分に捜査が迫ってしまう。また被害者たちに警戒される可能性も高まる。
雪松が犯行にタイムラグを付け、不連続殺人にしたため、ドラマ内の新聞記事は同年齢であることに着眼していない。捜査陣もそう。雪松の狙いは当たった。
では、3人に接点があることを気づかせたくない雪松は、どうして遺体にわざわざ同じ特徴を付けたのか。
その特徴とは「20カ所前後の刺し傷がある」「全身が濡れていた」「靴を履いていなかった」である。これは復讐だからだろう。
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