子どもが「ドラッグ調合」動画を配信の衝撃……元マトリ部長が語る「市販薬乱用」の闇

国内 社会

  • ブックマーク

咳止めシロップを一気飲みするケースも

 実際、過去に瀬戸氏が相談を受けた案件にも、大麻の乱用から立ち直った女子大生が、今度は市販薬の乱用に陥るケースがあったという。咳止めシロップは、本来、計量カップでひと瓶の内容量を10~15回ほどに分けて服用し、12歳未満はそもそも“服用しないこと”と注記されている。

「厚生労働省は、エフェドリン、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロムワレリル尿素の6成分を『濫用等のおそれのある医薬品』に指定。これらを含む一部の市販薬については、販売に際して購入理由や他店での購入状況を確認し、販売数量の制限などをすることを求め、販売店も取り組みを強化しています」

 6成分を含む市販薬には、冒頭の動画にも登場する「ブロン錠/ブロン液」、「新トニン咳止め液」などが挙げられる。こうした市販薬について、ドラッグストアや薬局が<販売量はお一人様1個限り>と販売制限をかける取り組みを行っているのも事実だ。しかし、

「ネット通販でも購入可能なので、現実には乱用に歯止めがかかっていません。市販薬は覚醒剤や大麻より安価で簡単に手に入り、それを販売しても逮捕されることはない。そのため、実態把握が大変難しい面があります。私が相談を受けた少女は“規制されていない市販薬なんだから、大したことないだろう”と高を括って、ドラッグストアやオンラインショップで買い漁るようになった。咳止めシロップを1~2本一気飲みすることもあると話していました」

 瀬戸氏が続けるには、

「薬物乱用は、規制の有無に関係なく存在します。中枢神経に影響を及ぼす薬物の使用を続けると、誰もが依存症等に陥る可能性があるのです。クスリは“両刃の剣”です。市販薬や処方薬の問題についても強く意識してほしいと思います」

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。