エンゼルス球団売却は大谷にも影響 契約問題はどうなる?

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経営への熱を失った原因は

 メジャーリーグ評論家の福島良一氏は、

「アナハイム市長の汚職事件が、売却の引き金となったのは間違いありません」

 そう指摘する。市の所有するスタジアムと周囲の土地を球団が総額3億2千万ドルで購入する計画が進んでいたものの、5月に市長の汚職が発覚して頓挫した一件である。

「モレノ氏が思い描いていたホテルやショッピングセンターなどの再開発も暗礁に乗り上げ、見込まれた収益がもたらされなくなった。加えて本人が高齢の上、息子たちは野球に携わっておらず後継者も見当たらない。経営への熱意を失い、一気に見切りをつける方向へと傾いていったのでしょう」

 続けて、

「20年にわたり球団を保有し、大谷選手のおかげもあって資産価値は大幅にアップした。ビジネス上は理にかなった選択です。スター選手であるトラウト外野手(12年契約総額4億2650万ドル)と大谷選手がそろった状態で、モレノ氏は『売り手』に回ったわけです」

どんなオーナーが大谷に利するのか

 大谷は今季が2年850万ドルの契約最終年、さらに来季オフにはFA権を取得する。オーナーチェンジで去就はどうなるのか。

「彼は年俸でなく、強いチームで戦うことを最優先にしている。となれば、今季オフの大型契約は望まず、来季オフにFAを行使すると考えられます」

 としながらも、

「例えばメッツは、2年前に富豪のコーエン氏がオーナーとなり、豊富な資金でチームを立て直しました。球団の年俸総額が2億3千万ドル(22年)を超えると支払わされる課徴金(贅沢税)を嫌ったモレノ氏とは異なり、課税も厭わないコーエン氏タイプの人物が買い取れば、大谷選手が残留して大型契約を結ぶ可能性も出てきます」

 一方、スポーツライターの丹羽政善氏が言うには、

「大谷選手がエンゼルスに残るかどうかは、30年まで長期契約が残るトラウト外野手のコンディションも影響するかもしれません。彼は現在、背中を痛めており、“残りのキャリアを通じて対処しなければならない可能性があるほどの症状”とされています。再発を防ぐにはDHでの起用がベスト。となると一つしかないDH枠を、どう大谷選手と分け合うのか。二刀流がかなわなければ、本人は移籍を考えるのではないでしょうか」

 まさしく予断を許さないのだ。

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

ワイド特集「危険地帯」より

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