巨人「大勢」が31セーブで新人歴代3位 それでも起用法には疑問【柴田勲のセブンアイズ】
“一球”の怖さ
巨人がクライマックス・シリーズ進出争いに踏みとどまった。2日からの3位・阪神戦(甲子園)を2勝1分けと勝ち越して2ゲーム差とした。
【写真18枚】「砂浜でまどろむイチロー」など、個性派ぞろいの野球人が数々のドラマを生んだ 写真でつづる平成の名選手・名監督たち
4日の試合をモノにしたのは大きい。負ければ「4」ゲーム差だった。今後の阪神次第ということもあるが「4」と「2」では全然違う。とにかく3位浮上だ。Aクラスなら格好がつく。Bクラスで終わってはダメだ。
それにしても“一球”の怖さを改めて知った思いだ。4日、0-0の7回無死一塁。中田翔が6回までわずか1安打に抑えられていた西純矢から左翼席に決勝となる17号2ランを放った。初球だった。
西純は直前の打者・丸佳浩にストレートで四球を与えており、直後に一発を食らった。こんなのはベンチで防ぎようがない。典型的なケースだが、フォークがすっぽ抜けて甘く入ってしまった。失投だった。
おそらくフォークで併殺を狙ったのだろうが、ここは真っすぐで押すべき場面ではなかったか。いまの中田は速い球に弱い。真っすぐなら詰まっていたと思う。抜けたフォークに反応した中田は見事だが、阪神バッテリーの攻め方の問題だった。結果として西純の好投がフイになった。一球に泣いた。
今回の阪神3連戦、救援陣が頑張った。無失点だった。今季は救援陣が崩れて試合を落とすケースが多かった。だけどこうして救援陣が機能すれば試合を拾える。残り試合は「18」、遅まきながらだが、最後までこの調子でいってほしい。
私が監督なら……
(翁田)大勢が4日、31セーブ目を挙げた。1990年に与田剛(中日)が記録した新人歴代3位に並んだという。
報道によると原辰徳監督は勝負の18試合を見据えて試合を締める展開になったら大勢の3連投を解禁する方針だという。
ただ今コラムで何度か指摘してきたが、この期に及んで限定1イニング、また回またぎをさせないのか。よく分からない。他の投手たちはどんどん使っている。
新人は新人だが昨日今日投げた投手ではない。すでに40試合以上(47試合)に登板している。まだ23歳だ。若い。それに使い減りするタイプではないと見た。
8月31日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で同点の9回から1イニング、2日の阪神戦でもこれまた同点の11回に1イニング起用した。私が監督なら「この試合の決着がつくまで投げろ」と話して送り出す。救援陣で大勢以上の投手はいない。セーブの失敗は5月8日のヤクルト戦(東京ドーム)の1度だけだ。抜群の安定感を持っている。38、9歳の投手を使うわけではない。酷使じゃない。
コントロールで勝負する。ストライクを先行させる。球数を少なくしてしのぐにはどうしたらいいか。配球。長いイニングをこなすことは勉強になる。
高橋優貴だってもっと使った方がいいと思う。昨年は11勝をマークして今季は投手陣の中心として期待された。だが1勝と低迷して現在はファームで調整中だ。コントロール難に苦しんでいる。
これまた「私なら」になるけど、「無四球を狙って全部ストライクを投げろ」と話してマウンドに送り込む。細かいことを考え過ぎている。メンタルの問題だろう。11勝を挙げた投手だ。きっかけがあれば立ち直る。少し悪くなると即ファームでは問題が解決しないのではないか。
[1/2ページ]