「フットボールクラブで“お姉ちゃん役”だった」 渋谷母娘刺傷、15歳少女の素顔
「なんでそんなことするの、あんた誰?」
「この辺りはけんかが多いので、最初はまたけんかかと思っていたのですが、あの時は悲鳴が2回聞こえたのでベランダに出たんです」
と、現場の近くに住む男性が振り返る。
「そうしたら、お母さんのほうがバッグで犯人の女の子に応戦していて、刺された娘さんは近くに倒れていました。お母さんは“ナイフ! この人持ってる”とか“110番して”と叫んでいました」
現場近くの飲食店の女性従業員が撮影した動画には、その後の様子が捉えられている。
うなり声とも悲鳴ともつかない声をあげながら、母親が少女Aを押さえつけている。彼女はゆっくりと拘束を解き、隣に倒れている娘のほうに向きなおろうとする。
「ヤバイヤバイ」
と撮影者の声。おそらく、再び娘を刺そうとしたのだろう。しかし次の瞬間、刃物が道路に落ちる金属音が響き渡る。近くで様子をうかがっていた同じ飲食店の男性従業員がすんでのところで彼女から刃物を奪って路上に滑らせたようだ。
「なんでそんなことするの、あんた誰?」
「人違いとか許さないよ。何? 何?」
「何するんだよお前!」
母親が大声で少女Aに問いかけている。組み伏せられている彼女の顔が一瞬だけ映る。黒いマスクに表情は隠れているものの、その目元の雰囲気は、サッカーの夏合宿に参加していた時と変わらない。
異様な感じ
動画を撮影した飲食店の女性従業員によると、
「完全に取り押さえられてから彼女はあまり暴れたりしなかった。やり遂げた、みたいな感じで私に“あの子死んだ?”と聞いた」
先の捜査関係者が言う。
「娘さんの傷の深さは約10センチで、背中から腎臓に達していました。母親も肩や腹を切られ、犯人ともみ合った時に腰の骨を折っています」
現場の近くに住む前出の男性は自宅からバスタオルを持ち出し、刺された娘に応急処置を施した。
「出血量はそれほど多くなかったのですが、顔面蒼白で今にも意識が飛びそうになっていたので、横になって下さいと言って寝かせて、ずっと話しかけていました。“大丈夫?”とか“もうすぐ救急車が来るから”と」
少女Aについては、
「放心した感じで天を仰いでいました。目が死んでいましたね。“私のバッグどこ?”と言ったりして、異様な感じでした」(同)
[2/3ページ]