50歳で「一生に一度の恋」に落ちた不倫夫 密会部屋での逢瀬の果てに、思わぬ展開が待っていた
妻の秘密を知っても…
冬美さんは妊婦でありながら家事万端、すべてうまく整えてくれた。仕事ができる女性は、家事も手際よくこなしていくのだなと思った記憶があるという。
彼は直属の上司にかわいがってもらい、仕事の幅を広げていった。
「その上司がやけに『奥さんは元気か?』と聞くんですよね。嫌な予感がして、妻の同期に聞いたら、やはり冬美はその上司とつきあっていたらしい。上司にとっては、いい厄介払いができたんじゃないですか、僕が結婚したから。それで哀れみもあって引き立ててくれたんじゃないか。そんな気がします」
それでも彼は「運命」には逆らわなかった。冬美さんは、実際、「いい妻」だったから、自分が過去を気にしなければいいんだと彼は覚悟を決めた。
子どもがふたり生まれ、冬美さんは40歳のときに仕事を見つけて働くようになった。帰国子女で英語とスペイン語に堪能だったから、派遣会社に登録すると、貿易関係の仕事がすぐに見つかった。今なら産休や育休を使って、もっといい働き方ができたかもしれない。
「それなりの時給でけっこう稼いでいたみたいです。でも、彼女は子どもを最優先させていました。もっとバリバリ働ける人生もあったはずなのにと思ったけど、冬美はいつも『私は今がいちばん幸せ』と言っていた。僕も、冬美が作ってくれる楽しい雰囲気の家庭が好きだった。子どもたちも元気過ぎるくらいで、4人で出かけるのは楽しみでした。妻の過去を思い出すことはなくなっていった」
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