「ダウンタウンvsZ世代」 異例の高視聴率を獲得した「仕掛け」を深堀り

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テレビ離れは進むが…

 そもそも、昭和世代とZ世代を対比させることで、両方の世代の視聴者を取り込もうとしていることは明白である。そんな番組のMCとして、ダウンタウンを起用したというのも納得できる。

 ダウンタウンの2人は、還暦間近の「アラ還芸人」でありながら、いまだに現役のテレビスターであり、中高年だけでなく若い世代にも支持されている。そんなダウンタウンを仕切り役にして、昭和世代とZ世代のタレントを大勢スタジオに集めることで、どちらの世代の視聴者からも見やすくて楽しみやすい最強の布陣が完成した。

 しかも、昭和世代の伊集院光、川島明、Z世代の池田美優(みちょぱ)のように、どんな話題でも場を盛り上げることのできる有能なメンバーを並べていた。これだけの布陣が組まれていたら、視聴者を取り逃がす心配はない。

 人々のテレビ離れが進む中で、本当に面白いものを作れば多くの人に見てもらえるということがわかったのは、テレビ業界にとっては明るいニュースだろう。「ダウンタウンvsZ世代」からは、ダウンタウンの健在ぶりと日本テレビ制作チームの高い志が伝わってきた。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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