秋から後期高齢者の医療費が2倍に! 「かかりつけ医」が重要になる理由
活用すべき制度は?
そして、繰り返しになるが激変緩和措置は3年間限定なので、後に節目の年として詳述する2025年にはこの措置は終わり、確実に「倍負担時代」がやって来ることになる。その時のことを考えても、やはり今から対策をとることが求められよう。
「医療費負担を大きく減らすことが期待できるのは、まずは高額療養費制度の活用です」
と、内藤氏はアドバイスする。
「医療機関や薬局の窓口で支払った金額がひと月の限度を超えた場合、申請すると限度を超えた分の額が戻ってくる制度です。限度額は年齢や年収によって異なりますが、70歳以上の一般所得者(年収約156万~370万円)の場合、外来時の負担限度額は月1万8千円となっています。該当するのに活用していなかった方は、今から活用することをお勧めします」
内藤氏が続ける。
「次に活用したいのは『リフィル処方箋』です。今年4月に始まったもので、医師が決めた一定期間内に3回までであれば、医師の再診療なしに同じ処方箋で薬を受け取れる制度です。新薬や向精神薬は対象外ですが、それ以外の生活習慣病の対処薬など『いつものお薬』をもらうために、わざわざ医療機関に行く必要がなくなり、医療費の節約ができます」
医療費だけでなく通院時間の節約にもつながり、大いに役立ちそうだが、注意点があるという。
「医師によっては、リフィル処方箋を出すのを嫌がる場合があると聞きます。経過観察の機会が減り、症状の変化に気付くことができず健康状態の悪化につながる恐れがあると考える医師がいる一方で、リフィル処方箋を出すことによって再診の機会が減って診察料、すなわち収入の減少につながると考えている医師もいるようです」(同)
市販薬も控除の対象に
さらに、
「2017年1月からスタートした『セルフメディケーション税制』の利用を検討してみるのもいいと思います」
と、内藤氏が三つ目の対策を伝授する。
「これはドラッグストアなどで所定の医薬品を購入した金額が年間1万2千円を超えた場合、超過金額(上限8万8千円)をその年の所得から控除できる制度です。所定の医薬品とは『スイッチOTC医薬品』と呼ばれ、もともとは医療用として使われていたものの、現在は有効成分などを変えずに市販薬として流通している薬のことです」
ドラッグストアで市販薬を手にとり、〈セルフメディケーション税控除対象〉というマークが付いていれば、それがスイッチOTC医薬品ということになる。
「風邪薬や胃腸薬、鼻炎用内服液、湿布薬など多くの市販薬がこれに該当します。医療機関にはあまり頼らず、自力で治しているという方は、薬購入時のレシートをとっておいて控除申請するといいでしょう」(同)
ただし、その他の医療費控除とは併用できないのでご注意を。
それ以外の対策を、荻原氏が補足する。
「お薬手帳を持つことも重要です。お薬手帳を持参すると、持参しない時よりも薬局の管理指導料の点数は低く抑えられ、その分、薬代も安くなります。1回で数十円という微々たる節約かもしれません。しかし、そうやって“アカスリ”を積み重ねることで、医療費全体の無駄削減につながっていくのではないでしょうか」
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