甲子園で優勝投手の経験がある現役「プロ野球選手」を全調査 最も多いのは中日、1人もいないのは?

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2人のチームは3球団

 優勝投手が2人のチームは3球団ある。東北楽天ゴールデンイーグルスは春夏ともに古参の優勝投手である。まず春は04年第76回選抜に済美(愛媛)の2年生エースとして活躍した福井優也だ。初戦でいきなり完封勝利を収めるなど、全5試合に先発し、同校を春夏の甲子園史上最速となる創部3年目で初出場初優勝へと導いた。10年のドラフトでプロ入りし、18年オフに楽天にトレード移籍。昨年同様に今季もリリーフ登板でチームに貢献している。

 もうひとりは一度メジャーへ行き、古巣に復帰している田中将大である。05年の2年生時に、第87回選手権で駒大苫小牧(南北海道)の夏2連覇に貢献。背番号11ながら3回戦と準決勝に先発するなど計25回2/3を投げている。決勝戦でも5回途中から登板し、最後までマウンドを守り続けた。優勝を決めた最後の1球は、2年生投手では史上初の150キロをマークしている。そしてこの翌年夏、あの早稲田実(西東京)との歴史的死闘に臨むこととなるワケだ。

 今季本拠地17連勝という記録を打ち立てた横浜DeNAベイスターズにも2人いる。田中健二朗と、大卒ルーキーで1軍昇格を目指す徳山壮磨だ。田中は今季開幕から1軍のセットアッパーとして登板を重ねたものの、7月中旬に右太もも裏のハリで2軍落ちしている。07年第79回選抜に常葉菊川(現・常葉大菊川=静岡)の左腕エースとして出場し、4勝をマークした。春夏通じて同校の甲子園初優勝に大きく貢献した。

 徳山は17年の第89回選抜に大阪桐蔭 のエースとして全5戦、計39回を投げ、5勝を挙げる活躍ぶり。決勝戦の最終回こそ1学年下の根尾昂にマウンドを譲ったものの、準々決勝と準決勝では完投をマークするなど、同校の5年ぶりの春制覇に貢献した。

 そして阪神タイガースには藤浪晋太郎と20年ドラフト5位の村上頌樹がいる。今季8月20日の対読売ジャイアンツ戦で491日ぶりとなる先発白星を挙げた藤浪は、大阪桐蔭の絶対的エースとして12年の甲子園の春夏連覇をはたした。特に夏は準決勝と決勝を連続完封しての栄冠で、2試合連続完封劇は92年第74回の西日本短大付(福岡)の森尾和貴(元・新日鉄八幡)以来、20年ぶりの快挙でもあった。

 村上は16年第88回選抜に出場。戦った5試合すべてで完投し、47回を投げて失点はわずか3という好投で智弁学園(奈良)を春夏通じて甲子園初優勝に導いた。決勝戦では延長11回裏にサヨナラ打も放っている。大学を経てのプロ入りで、将来が楽しみだ。

1人もいないのは

 最後に1人のみという球団を紹介しておこう。甲子園の優勝順に、

福岡ソフトバンクホークスの東浜巨(08年第80回選抜・沖縄尚学)
広島東洋カープの堂林翔太(09年第91回選手権・中京大中京〈愛知〉)
千葉ロッテマリーンズの小島和哉(13年第85回選抜・浦和学院〈埼玉〉)
東京ヤクルトスワローズの高橋奎二(14年第86回選抜・龍谷大平安〈京都〉)
北海道日本ハムファイターズの柿木蓮(18年第100回選手権)、
読売ジャイアンツの石田隼都(21年第93回選抜・東海大相模〈神奈川〉)

 である。ちなみに日ハムは斎藤佑樹(06年第88回選手権・早稲田実〈西東京〉)が昨季引退しなければ、そして平沼を西武にトレードしなければ、中日に次ぐ単独2位の可能性が高かったわけだ。

 1人もいなかったのはオリックス・バファローズ。16年7月途中にヤクルトへトレードされた近藤一樹(01年第83回選手権・日大三〈西東京〉)が最後で、6年以上もいないことになる。

上杉純也

デイリー新潮編集部

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