甲子園で優勝投手の経験がある現役「プロ野球選手」を全調査 最も多いのは中日、1人もいないのは?
今年の夏の高校野球は、仙台育英(宮城)が春夏通じて初の東北勢優勝を成し遂げた。“聖地・甲子園”に新たな優勝投手が生まれたわけだが、甲子園で優勝投手の経験がある現役のプロ野球選手を球団別に調べてみた。すると、意外な結果が判明した(文中の成績は8月28日現在)。
対象となるのは19人いる。うち4人が所属し最も多いのは中日ドラゴンズだった。2015年の第97回選手権で東海大相模(神奈川)を45年ぶり2度目の夏優勝に導いた小笠原慎之介、花咲徳栄(埼玉)のリリーフエースとして活躍し、17年第99回の選手権で県勢悲願の夏制覇の立役者となった清水達也、2年春、3年春夏で全国制覇を果たした“大阪桐蔭最強世代”の1人・根尾昂。そして19年第91回選抜で、東邦(愛知)を大会史上最多となる5度目の春王者へと導いた石川昂弥という顔ぶれである。
注目は根尾と石川だ。プロ入り後は野手で勝負していたが、今年6月21日付で正式に投手登録されている。高校時代はショートを兼任しながら、17年第89回・18年第90回大会と史上初の2年連続春の選抜の胴上げ投手に輝いている。特に史上3校目の春連覇がかかった18年の決勝戦は、猛打の智弁和歌山相手に先発のマウンドを託されると被安打6、6奪三振の2失点で完投勝利を果たした。“投手・根尾”を語る上で欠かせない試合となった。今季、投手転向後には自己最速となる154キロを叩き出すなど、徐々に存在感を見せつつある。
一方、プロ入り後に内野手へ転向した石川は“平成最後の甲子園優勝投手”でもある。エースとして全5試合に先発し、ほぼ1人で投げ抜いた。打っても大会記録に並ぶ1大会3本塁打と、二刀流の大活躍で勝利に貢献したのである。プロ3年目の今季は立浪和義新監督のもとで開幕スタメンの座をつかみブレイクの兆しを見せたものの、左ひざのケガで長期離脱を余儀なくされてしまった。
つぎに優勝投手が多いのは…
つぎに優勝投手が多いのは埼玉西武ライオンズである。13年第95回選手権で2年生エースながら前橋育英(群馬)を夏の甲子園初出場初優勝へと導いた高橋光成、16年第98回選手権で作新学院(栃木)に54年ぶり2度目の夏制覇をもたらした今井達也、そして15年の第87回選抜で、敦賀気比(福井)のエース兼4番として、春夏通じて北陸勢初の甲子園優勝の立役者となった平沼翔太の3人が所属している。
今季ここまで8勝7敗、防御率2.38とエース格らしい投球を続けている高橋は、甲子園では横浜(神奈川)や常総学院(茨城)などの強豪を相手に全6試合で50回を投げ抜き、防御率は驚異の0.36と圧巻の投球を展開した。
今井は今季は2度のケガで出遅れはしたものの、ここまで8試合に登板し、4勝1敗、防御率2.79と巻き返しをはかる。甲子園では最速152キロの速球を武器に全5試合に登板。41回を投げて防御率1.10と抜群の安定感を発揮した。
プロ入り後、すぐに内野手に転向した平沼は、昨年8月に北海道日本ハムファイターズからのトレード移籍組だ。昨シーズン限りで松坂大輔(横浜のエースとして98年春夏連覇)が引退しなければ、ライオンズは中日と並んで優勝投手が多いチームだった。
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