【初恋の悪魔】殺人事件の真犯人は誰なのか 全てのナゾを解くカギは「リバーシブル」
未解決事件に迫る
未解決事件を振り返る。まず朝陽の転落死。2019年7月20日、朝陽はホテルの屋上から落ち、死亡した。事故として処理されたが、友人で境川署長の雪松鳴人(伊藤英明)は殺人と見ている。
朝陽はその日、同僚刑事と2人で現場のホテルに行った。強盗の容疑者が潜伏しているというタレコミがあったからだ。ところが教えられていた部屋に容疑者はいなかった。
訝しく思った朝陽が非常階段で外に出た直後、屋上から転落した。朝陽と誰かが争った形跡はなかった。もしも朝陽が誰かに突き落とされたのだとすれば、相手は気の許せる顔見知りということになる。
当時の朝陽は、高校生・吉長圭人(石橋和磨)を殺した容疑で指名手配されていた淡野リサ(満島ひかり)を追っていた。リサはヘビ女・星砂の恩人である。
2012年、赤虎・星砂は15歳で東京へ家出した。理由は育ててくれた祖母の死。1年後、16歳になった星砂は気づくとヘビ女に変わっており、金がなくて途方に暮れていた。そこへ現れ、無償で住まいと食事を提供してくれたのがリサだった。
「ここの家賃はお金じゃない。おかえり、ただいまって言うことだよ」(リサ、第6話)
リサは自宅に家出少女を集め、共同生活を送っていた。皆を食べさせるために一日中働き、それでも生活費が足りなくなると、ブランド品のバッグや靴の転売、偽ブランド品の販売で稼いでいた。
第1話でヘビ女・星砂が靴やバッグを買い漁っていることが明かされたが、これはリサへの思慕の表れだろう。
16歳時の共同生活にヘビ女・星砂は満足だった。だが、その暮らしは短期間で終わる。共同生活を行政が問題視したためだ。リサの借金だけが残った。
その借金が返済できたら、共同生活が再開できるはずだったが、返済用の金の受け取りをリサから託されたヘビ女・星砂が、突如として赤虎・星砂に変わってしまう。リサに関する記憶が飛び、金の受け取りが出来なかった。
それから7年が過ぎ、2019年6月、ヘビ女・星砂は再び現れる。恩人のリサは高校生・圭人殺しの容疑で指名手配されていた。ヘビ女・星砂はリサを救うため、一緒に逃げようとしたが、同7月10日に朝陽に拳銃で撃たれてしまう。
ヘビ女・星砂はそのまま気を失い、赤虎・星砂に変わった。それから2年間、ヘビ女・星砂が出てくることはなかった。リサは刑務所に入った。
朝陽殺しの主な謎は以下の通りだ。
(1)雪松署長が境川署に朝陽殺しの犯人がいると断言する理由は何なのか
雪松署長は第1話で悠日に対し「おまえの兄貴を殺した真犯人はうちの署にいる」と断じた。
(2)赤虎・星砂は朝陽のスマホをいつ、どうやって入手したのか
赤虎・星砂は朝陽のスマホを持っている。何か重大な事実が収められているらしいが、これを入手した日時、経緯は不明だ。朝陽は死の前日の2019年7月19日、悠日に電話し、留守電に「相談に乗ってほしい」と吹き込んだ。その時点までスマホは本人が持っていたことになるが、翌20日の死亡時には消えていた。
(3)朝陽は悠日に何を相談したかったのか――
[2/3ページ]