「子供に失敗させろと言うんですか!」 着替えが自分でできない息子に焦る母…原因はどこに?
ついつい手伝いたくなるが…
そもそも、靴を履く前に、子供の靴の中に小石や虫などが紛れ込んでいないかも確かめるでしょう。さらに、靴のサイズが子供の成長と合っているか、足の指先が靴の中で窮屈になっていないかなど、細かくチェックすることはたくさんあります。
親は、子供が危険な目に遭わないよう、それは細かく気を付けて育てます。お父様が気付かない細かいことまで気になるお母様は多いことでしょう。生まれた時からずっと見ているため、小さな差異にも気が付いてしまいます。
子供が幼いうちは基本的な準備を親が整えなければなりません。
子供にシャツ一枚を着せるにも、季節に合わせて、暑すぎはしないか寒くはないかとシャツの素材を考え、子供の年齢と指先の器用さを確かめてボタンの有無やデザインを選びます。
子供がシャツを着るのに、どこでうまくいかないか、どこまでが今できることか分かるために、側で見ているとつい代わってボタンをかけたい気持ちにもなるでしょう。靴のストラップが正しくかかっていないと転ぶかもしれないと、心配するあまり先回りしてしまいます。子供が自分でストラップをかけるまで待つことができません。
子供を「待つ」ことができない
子供の動作を「待つ」ことができない親は多くいます。
誰もが知っている通り、幼い子供は自分でやってみる、やらせてみることが大切です。さらに、子供の発達段階でいえば、女の子の場合は幼くても言葉で説明し理解を促すことも多くありますが、男の子の場合は、失敗して学ぶというプロセスの大切さもあります。自分で試してみて、失敗する。失敗しなければ学ぶ機会を失いかねません。
これらは本来、私がアドバイスする話ではなくて、本当ならば親や祖父母などと話せばいい話のようにも思います。でも、ご相談にいらした以上は、できる限り誠実に向き合って、お話をするようにしています。
ところが、私が上のような話をすると、30代の母親は少し口をとがらせて言います。
「待つといっても、時間には制限がありますよね。家族で出かける朝、息子がボタンを留め間違えて、また一からやり直すのを待っていると、夫が不機嫌になります。ボタンくらいおまえが留めてやれと叱られるのは私です」
もちろん夫君の理解や協力も必要です。子供が今どの発達段階にいるのか日常的に父親へ伝えておくことも大切です。
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