大谷翔平「逆転MVP」に一抹の不安 記者投票で「WAR」「ダブル規定」以外の“決め手”とは

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大谷、ジャッジのWARは僅差

 MVPは、全30球団の本拠地から選ばれた全米野球記者協会(BBWAA)の会員2人がレギュラーシーズンの成績のみを対象にア、ナ両リーグで投票する。1位は14点、2位は9点、3位以下は1点ずつ下がって10位は1点で、合計点で争う。「球聖」タイ・カッブが1911年に初代MVPに輝いており、100年以上の歴史を誇る。

 MVP選考の際、近年では記者がセイバーメトリクスによる「WAR」という指標を重視している。チームの勝利への貢献度を示す数値で、ポジションで不公平感が生じないように補正が施される。記録専門サイト「ベースボール・レファレンス」によると、8月終了時点でのア・リーグのWARはジャッジが「7.8」でトップ。大谷は投打の合計「7.3」の2位で追っている。満票でMVPに輝いた昨季の大谷は「9.0」と断トツだった。

「これから最後の1ヵ月はWARの変動に注目すれば、MVPの行方を占える側面はある。ただし、WARだけで大谷の価値は計れない。二刀流は投打を同時に行っているからだ。疲労感が残る登板後に本塁打を放てば、打者専門の選手の本塁打よりはるかに価値が高い。前日に打者出場して登板して勝利投手になることも、投手専門の選手が1勝することより難しい。WARはこうしたことは加味されていない。少しぐらいWARで大谷が劣っていたとしても自分なら1位票は大谷。ジャッジのような選手は過去にもいたし、今後も出てくることを想像させるが、大谷のような選手が出現することは、なかなか考えられないというのもある」(投票経験があるMLB記者)

 今季途中にエンゼルス監督を解任されたジョー・マドン氏は、「大谷の二刀流を当然のことと思わないで欲しい。慣れてはいけない。とんでもないことをやり続けている」と語っている。「9勝、46本塁打」をマークした昨季ほどのインパクトが今季はないのかもしれない。だが、不世出の選手が昨季と甲乙付けがたいパフォーマンスを見せていることには変わりない。まさに「慣れてはいけない」のである。

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