レディコミの女王・井出智香恵が明かす、7500万円国際ロマンス詐欺被害 「恋ほど恐ろしいものはない」

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黒い紙幣

 お金を貸してほしいと初めて要求してきたのは18年の暮れ頃。最初は10万円くらいでした。旅先で財布を落として飛行機代が無いから貸してほしいと言ってきたり、アメリカ大統領選でバイデン候補を応援するため寄付金を納めたいから貸してほしい、などともっともらしい口実をつけていました。そして、最初は10万円だったのが、100万円単位で貸してほしいと言ってくるようになり、300万円を一度に貸してしまったこともあります。

 借りた金を返すと言うマークの指示を受け、アメリカ大使館員を名乗る二人の黒人男性が私の自宅にお金を届けにきたこともあります。その際、二人は黒色に染まった札束が入ったキャリーバッグを持参。黒人男性がポケットから取り出した無色透明の油のような液体を黒い紙幣にたらすと、黒色が消えて本物の100ドル札の図柄が浮かび上がってきたので驚きました。あれも本物の紙幣は700ドルぶんくらいだけで、あとは偽物だと思います。

 振り返ってみるとバカみたいですが、やり取りを続けるうちにマークに恋心を抱くようになっていたのは事実です。言葉巧みにだまされたというよりも、ここでマークの言うことを信じなければ、彼との恋愛関係に終止符を打たなければならないという、ある種の寂寥感に悩まされました。恋ほど恐ろしいものはないと言いますが、それを痛感しています。

週刊新潮 2022年9月1日号掲載

ワイド特集「哀の水中花」より

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