三冠王確実の村上宗隆 もし野村克也さんがキャッチャーならどんな手を使って抑え込むか
もっともっと打ち続けたい──8月26日、ヤクルトの内野手・村上宗隆がDeNA戦(横浜)で通算150本塁打を達成。「すごく、誇りに思う。まだまだこれからも、もっともっと打ち続けたい」とコメントした。(一部敬称略)
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22歳6カ月での達成は、日本プロ野球史上、最年少。ちなみに2位は清原和博氏の22歳11カ月、3位は松井秀喜氏と王貞治氏の24歳1カ月だ。
村上がどれほど凄い打者か、記録を列挙したいところだが紙幅に限りもある。そのため8月30日現在の成績を紹介するにとどめよう。
116試合に出場し、501打席で49本塁打、打率3割3分9厘、120打点。いずれもセ・リーグの打撃成績部門では断トツの1位で、三冠王が確実視されている。担当記者が言う。
「去年も39本塁打、打率2割7分8厘、112打点を記録しました。今シーズンだけが好調というわけではないのです。22歳とまだ若い選手ですから、今後も成長を続けるでしょう。将来、どんな大打者になか、想像すらできないほどです」
かつてヤクルト、巨人、阪神で4番を務めた野球解説者の広澤克実氏は、「ストライクゾーンのどこにも死角がありません」と脱帽する。
「普通の打者なら、『インハイは苦手』とか、『アウトローだけは振り遅れる』とか、苦手なコースがあります。ところが村上くんは、ストライクゾーンのどこに投げてもホームランにしてしまうのです」
感覚の維持
プロ野球の1軍でスターティングメンバーに選ばれる打者なら、「どこに投げられても打てる」という感覚を持つこと自体は珍しくないという。
「ただし、その感覚は、短いと数日で消えてしまうものです。昨日まで打てていたボールが、今日になると突然打てなくなるということを、私も何度も経験しました。感覚が数カ月続くだけでも大したものです。ところが村上くんは、複数年にわたって、その感覚を維持している。だからこそ球史に残るホームランバッターになれるのだと思います」(同・広澤氏)
ストライクゾーンなら、どこに投げても打たれてしまう。となると、バッテリーとしてはボール球しか投げられない。
「バッテリーは、『ホームランより四球のほうがマシ』という考えで対戦する必要があります。ボール球を振らせることができたらバッテリーの勝ち、四球を選んだら村上くんの勝ちという戦いです」(同・広澤氏)
村上にボール球を振らせるためには、ピッチャーとキャッチャーが“意表を突く”しかないという。
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