高次脳機能障害・円楽、涙の「高座復帰」レポート お得意の“毒舌”は健在
万感胸に迫るものがあったのだろう。緞帳が上がるや、顔をくしゃくしゃにして涙、涙。8月11日、東京・国立演芸場の8月中席公演で脳梗塞からの高座復帰を果たした落語家の三遊亭円楽師匠(72)。高次脳機能障害が残ったことを明かしたが、「笑点」の仲間たちを取り沙汰しての“毒”は早くも全開で……。
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肺がん、脳腫瘍、と大病を克服してきた円楽師匠が脳梗塞を発症したのは今年1月のことだった。
「本当に復帰できるのか、と心配する声が上がる中、見事に復帰を果たされた。やっぱりタフだな、という印象を持ちました」
そう話すのは、11日の高座を見た演芸評論家の瀧口雅仁氏である。
「やったのは『猫の皿』という、重苦しくなく、短くて楽しめる話です。やはり復帰初日なので、自分がどれだけ高座で話すことができるのかを確認しながら、高座をかみしめる。そんな感じがしました」
演芸記者はこう指摘する。
「ちょっとろれつが回っていなかったのは心配ですが、それでも落語をやり切ったところにすごく意気込みを感じました。“こういう軽い話からでも俺は復帰してみせるから待ってろよ”という気概。落語協会、落語芸術協会の統一問題も、大名跡・円生襲名に関しても、“自分じゃなきゃいけない”と考えているのは間違いないと思います」
「みんな歌丸が悪いんだ」
今回の公演には長年、故桂歌丸師匠がトリを務め、19年から円楽師匠が引き継いだという因縁がある。20日の千秋楽でも、歌丸師匠らをいじる“定番ネタ”で大いに観客を沸かせていた。
「本当にこの8月、この国立の前になるとなんか出て来やがる。これはみんな歌丸が悪いんだ」
この日、円楽師匠が登場したのは仲入り直前。舞台上では座布団と高座が外され、車いすに座った師匠の下半身がすっぽり隠れるくらいの大きな演台が設置されている。とても万全の状態ではないが、“毒”の勢いは衰えていない。
「向こう行って、ウチの師匠(5代目円楽)と会ってね、“ちょっとウタさん楽太郎呼んどいでよ”、“そうだな”って呼びに来るんですよ。で、あの二人はロクなヤツじゃない」
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