「山口組」分裂 「勝者なき7年」と言われる理由とは?
強いて言うなら勝者は?
「これに対して神戸山口組や絆會側の場合、ヒットマンらはそこまでのサポートは得られず、結果として襲撃やカエシに二の足を踏むことにつながっている可能性があります。井上組長から神戸山口組の中核組織・山健組を引き継いだ中田浩司組長が自らヒットマンとなり、世間を驚かせたことがありましたが、戦争をする覚悟のある”兵隊”の数も自然と減っていくことになりますね」
表向きには、山口組が割れてからの7年は6代目山口組がその力をいかんなく発揮したと見ることができるのだが、一部で「勝者なき7年」と評する声もあるという。
「各組織は構成員を減らす一方で抗争に明け暮れ、シノギは寸詰まりになったまま。一方で、工藤會事件を巡っては、トップとナンバー2が使用者責任を問われ極刑と無期懲役刑が一審で下されました。このことが他の組織に与えたインパクトは相当なものでした。この7年について強いて言うなら、勝者は警察当局になるでしょう」
とは言うものの、ややこしいのだが、警察や暴排(暴力団排除条例)の順守が徹底されているお陰で暴力団が延命している点もあるのだと指摘する。
長生きゲーム
「例えば、特定抗争指定暴力団に指定されると、事務所への新設や立ち入り、対立する暴力団組員へのつきまとい、同じ組織の組員が5人以上で集まったりすることができなくなります」
それは当然、暴力団の活動が停滞することに繋がる。
「ただ、各組織の勢力が同様に弱まることによって抗争の種が自然と摘まれているということも見逃せません。警察の摘発活動や暴排によって暴力団が失速しているのは間違いないのですが、皮肉なことに息の根を止められないまま延命しているという実態もあるのです。こういった状況を、”長生きゲーム”などと呼んで揶揄する者もいますね」
6代目山口組、神戸山口組、そして絆會は、それぞれの組織の動向に気を配りつつ、警察当局の厳しい締め付けとも対峙しながら、分裂から8年目に突入している。
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