「山口組」分裂から7年 神戸山口組側の「カネ・カネ・カネ批判」に正義はあったのか?

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俺らは雑貨屋ちゃうで

 山口組が分裂し、今年で7年目の夏を迎えた。6代目山口組側の搾取が苛烈で、「カネ・カネ・カネ」の組織だとタンカを切るように脱退した者たちで神戸山口組が結成されたが、彼らもまた「カネの亡者」との批判を受け、さらなる分裂劇を生んだ。元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)に、改めて当時のことを振り返ってもらった。

「後に山口組を脱退して神戸山口組を結成する井上邦雄組長(4代目山健組組長)らを中心とする勢力は、いわゆる弘道会方式について相当な不満がありました。月の会費に加えて本部から日用品などを強制的に購入させられることが続き、6代目トップの司忍組長やその出身母体である弘道会ばかりが肥え太っていると、いらだちを募らせていったのです。“俺らは雑貨屋ちゃうで”というわけです」

 と、竹垣氏。

「カネの問題がきっかけとなって井上組長らは山口組を離脱したわけですが、新しく作った組織では現実の厳しさに直面しました。井上組長の最側近で大きな信頼を寄せる織田絆誠若頭代行が2年も経たないうちに神戸山口組を脱退し、任侠団体 山口組(現・絆會)を結成したのです。その原因もカネでした」

トワイライト方式

「織田代表は、“カネの亡者然とした6代目山口組を抜けて作った神戸山口組は6代目以上にカネ・カネ・カネの組織だ”と口を極めて批判を展開しました。実態はなかなか判然としませんが、井上組長が最初に掲げた理想が高邁すぎたというのはあるかもしれません」

 カネなしには人が集まらないのは自明のこと。当初は上納金の取り立ては緩やかだったのかもしれないが、組織が立ち往生するに至り、弘道会方式以上の搾取が展開されたということなのだろうか。

「そういう見方もできるでしょう。袂をわかった後もこれまでと同じようなことをしていたと指摘されていましたから、“言うてることとやってることが違うやないか”と織田代表が言うのもわかりますね。上納をキーワードにして5代目時代を改めて振り返ってみると、特に幹部らは渡辺芳則組長の妻が経営するブティック『トワイライト』から洋服などの購入を半ば義務付けられていました。購入額の大きな者が評価されるという説がまことしやかに流れました。私も“なんでこんなペラペラのを買わなあかんねんやろう”とボヤきつつ、高額なトレーナーを購入したことを覚えています」

 つまり、理不尽にも映る「トップが私腹を肥やす態勢」がかねて敷かれていたということのようだ。

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