東京地検特捜部に狙われる森喜朗元首相 因縁の元国会議員が語る「ステーキ屋会食」の意味
ステーキ店の疑問
山口氏は《『森喜朗君の一生』を検証すると、若い頃より今日まで不公正・不正義な生き方が次々と繰り返されてきた》と指摘、こんなアンフェアな人物はオリンピックの精神から大きく逸脱していると訴えた。
また16年6月30日号でも、東京オリンピックの問題では「森君がA級戦犯」と容赦ない。
《「彼は元総理でありながら、安倍総理のところにわざわざ出向いていく。力があれば電話一本で済むはず。結局、虚像なんですよ。私は1964年の感動的な五輪を見た世代ですから、今の醜態が許せません」》
こうして今、山口氏と高橋兄弟、そして森元首相がつながった。今回の報道をどのように受け止めているのか、取材を依頼した。
「真っ先に指摘したいのは、なぜ高橋・青木両容疑者と森元首相は、ステーキ店で会合を持ったのかという点です。組織委員会にも会議室の1つや2つあるでしょう。誰はばかることのない打ち合わせなら、昼間に普通の部屋で行ったはずです。それが実際は夜、高橋容疑者が経営するステーキ店で行われた。この事実だけでも、何かやましいところのある会合だったのではと疑われても仕方ありません」
「利権の人」
山口氏は「私の知る森さんは、キング・メーカーを気取っていました」と言う。
「怪しげな金を出されても、鷹揚に受け取っていました。キング・メーカーとして懐の深いところを見せたかったのかもしれません。今回の報道を目にして思ったのは、『昔と変わっていないな』ということでした。一言で言えば、森さんは脇が甘いのです」
森元首相を「失言の人」と思っている人は多いだろう。首相時代は「天皇を中心とした神の国」、「無党派は寝てくれればいい」との発言が厳しく批判された。
東京五輪組織委員会の会長に就任してからも数々の発言が問題視されてきたが、特に2021年の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」は、女性蔑視という批判が相次いだ。
「森さんは確かに『失言の人』であり、そうした面は何度も報じられてきました。しかし、深く取材している記者や関係者からすると、森さんは『利権の人』だったことも知る人ぞ知る事実でした。今回の報道は、森さんをよく知る人にとっては不思議でも何でもありません。特捜部の捜査がどこまで森さんに伸びるのか、私も注目しています」(同・山口氏)
註1:五輪組織委 高橋元理事を逮捕 受託収賄の疑い 東京地検特捜部(NHK NEWS WEB:8月17日)
註2:森氏と面会「条件クリア」 AOKI側、五輪スポンサー契約前 高橋元理事が紹介 録音押収(朝日新聞:8月25日朝刊)
註3:三木武夫元首相(1907~1988)の派閥
註4:中曽根康弘元首相(1918~2019)の派閥
註5:週刊新潮2015年12月10日号
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