数年前までは多かったのに… 近ごろ、連続ドラマの「打ち切り」がなくなった“業界の事情”

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打ち切りが決まるまで

 今、特に重視されているのは、CMの単価アップに直結するコア視聴率なのだそうだ。

「コア視聴率を2%獲っていたら御の字。1%を超えていたら打ち切りの声はまず上がらない。それくらいなら、若い人が観てくれると達成できる。また、録画で見てもらっても良いという考え方も定着した」(同・現役民放幹部)

 録画視聴とリアルタイム視聴を合わせた総合視聴率は2016年から調査が始まったが、これも市民権を得たことも連ドラの打ち切りを減らした。

 ただし、今の連ドラだってコア視聴率も総合視聴率も落ち込んだら、窮地に陥る。脚本の変更などのテコ入れが行われる。

 それでも浮上しないと打ち切り。その断を下すのは編成局長である。番組の並べ方や制作全般を指揮する現場の最高幹部だ。

 低視聴率ドラマであろうが、観ている人は数百万人単位で存在する。どうして打ち切るのだろう。

「スポンサーは昔ほど視聴率に拘らないが、低視聴率の連ドラを流し続けると、局の視聴率の全体値が下がる。局のイメージも落ちる。それなら打ち切ってしまい、仕切り直しをして、代替番組を流したほうがいい」(同・現役民放幹部)

 だが、打ち切りも局のイメージダウンにつながる。だから近年は各局とも連ドラの放送回数を公表しない。テレビ誌などにも「放送回数未定」と記載されている。こうしておくと、たとえ10回の予定を7回で打ち切ろうが、「予定通りでした」で済ませられる。

「放送回数未定としている理由はそれ以外にない。他局やスポンサーは当然、本来の放送回数を知っている」(前出・元民放幹部)

 編成局長が打ち切りを指示した後もその連ドラは2回程度、放送されるという。敗戦処理のためである。ストーリーを途中でぶった切り、いきなり終わらせる訳にはいかないからだ。

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